1型糖尿病の根治につながる研究施設を開設する国立国際医療研究センターの霜田雅之氏(左)に、寄付金を手渡す佐賀県首都圏事務所の熊本久人副所長=東京・有楽町のふるさとチョイスCafe

■NPOを後方支援

 1型糖尿病の根治につながる動物の臓器や細胞を人に移植する「異種移植」に関し、無菌の細胞を加工する国内初の研究施設が、佐賀県のふるさと納税による資金助成で開設される。早ければ年内にも国立国際医療研究センター(東京都新宿)に完成予定で、3~5年後を目標に掲げる臨床応用の基盤が整う。患者支援のNPOと連携した佐賀県の取り組みに全国から注目が集まっている。

 1型糖尿病は生活習慣と関係なく、血糖値を下げるホルモン「インスリン」を分泌する膵島(すいとう)の細胞が破壊され、患者は毎日4~5回のインスリンを注射しなければならない。膵島移植が有効だが、ドナー(臓器提供者)が少なく、ほとんど実施されていない。

 国立国際医療研究センターや福岡大のチームは根治につながる治療法として、医療用のブタの膵島細胞を特殊な膜で包んで移植する「バイオ人工膵島移植」の研究を進めている。

 佐賀市に事務局を置くNPO「日本IDDMネットワーク」はこの研究を支援している。佐賀県は全国的にも珍しいNPOをふるさと納税で応援する取り組みで、資金調達を後方支援してきた。2014年からはふるさと納税の大手仲介サイト「ふるさとチョイス」が提供する自治体向けクラウドファンディング(GCF)のサービスを使い、広報を強化した。

 異種移植には、医療用ブタの飼育施設、感染症の検査体制、移植する膵島を作成する細胞加工センターの3施設が欠かせない。県とIDDMネットは、飼育施設の建設のため明治大に1500万円、感染症検査体制の構築のために京都府立大に1千万円を助成した。

 最後に残っていた細胞加工センターの開設に向け、GCFの本年度目標額を7千万円に設定、これまでに約6950万円を集めた。13日に東京でその一部を目録として国立国際医療研究センターに手渡した。

 新年度もGCFを活用するなどして累計2億円を助成し、2025年までの根治実現を目指す。IDDMネット事務局長の岩永幸三さんは「根治が手の届くところに来た。県と一緒に2025年までに『治る』病気になった社会を実現したい」と語る。

 県外の寄付者から、「こういうふるさと納税を待っていた」「お礼の品は一切不要」「協力できることをうれしく思う」「佐賀県をこれからも応援したい」などと多くの激励の声が寄せられている。

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