サガン鳥栖誕生20周年の節目を迎え、チーム支援の取り組みに関して語る橋本康志市長=3日、鳥栖市役所

駅の改札口が西側にしかないため跨線橋を渡って駅東側のスタジアムに向かうサポーター。右が鳥栖駅=2月25日、鳥栖市

 橋本康志鳥栖市長が誕生して14日で丸10年を迎えた。行財政改革、企業誘致、鳥栖駅周辺まちづくりなどを軸に市政を進め、手堅く着実な行政手腕を評価する一方で、スピーディーさ、大胆さに欠けるとの指摘もある。橋本市政10年の実績と課題をみる。

 橋本氏は2007年の市長選で、現職を鳥栖駅周辺整備や鉄道高架化事業を市民に説明もなく白紙に戻したと批判して初当選し、3期目の折り返し点にある。

 主な実績としては九州国際重粒子線がん治療センターを九州新幹線新鳥栖駅前へ誘致し、他市町に先駆けて小中学校の耐震化やエアコン導入を進め、トイレの洋式化にも着手した。自治体の借金に当たる市債を07年度の230億円から17年度末(見込み)で182億円に減らし、貯金に当たる基金を39億円から78億円に倍増させるなど市財政を改善した。行政の透明化や企業誘致を進め、人口は約6万5千人から7万3千人に増え、今も市内各地で住宅建設が進んでいる。

 市は、鳥栖駅の橋上駅化による周辺まちづくりや、駅と線路で分断されてきた東西市街地を結ぶ都市計画道路の再編、新産業集積エリア(産業団地)整備、市庁舎建て替え、広域ごみ処理施設建設など総額数百億円ともいわれる大型事業を同時に進めようとしている。

 橋本市長は「財政的に耐えうるところまで来たと判断している。これまでは未来の鳥栖づくりに向けて力をためる時間だった」と強調している。

 一方で、公約だった隣の基山町やみやき町との合併による10万人都市構想はほぼ立ち消え。10年たっても駅周辺開発が本格的に動き出さないことに「スピードがない」「物足りない」との声が出始めている。

 熊本地震を受けて16年11月に、公約の温水プール建設を先送りし、耐震化されていない市庁舎を建て替える方針を突然表明した。議会からは「市長の独断が目立つ」と批判する声が上がり、「市幹部とのコミュニケーションが取れていないし、部下を育てていない」と厳しい見方も出ている。

 市民からは「職員が新しいことに挑戦しようとしない」「財政健全化を優先して慎重になりすぎていないか」との指摘も聞こえる。

 鳥栖市は1954年の市制施行以来、交通の結節点という地の利を生かして企業誘致を重ねてきた。96年にサッカー専用の鳥栖スタジアムを建設、J1で活躍するサガン鳥栖の礎を築いた。バレーボールの久光製薬スプリングスも活躍。人口7万人でこれほど話題豊富なまちも異例と言われるが、発展のチャンスを逃さないために、かつてのようなダイナミックな市政運営を希望する声は多い。

 橋本市長は年明け以降、「半世紀先のまちづくりの方向性を出す年。気合を入れて臨む」と繰り返す。10年の節目に、批判も糧にしながら、さらに市政を前進させていく責任と実行力が求められている。

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