造り手の思いを伝え、日本酒好きを増やすという夢を語る佐賀大学農学部3年の古川拓実さん=福岡市の福岡国際会議場

 自然豊かで魅力あふれる福岡県糸島市で生まれ、酒米の山田錦を無農薬で生産する父を見て育った。ただ漠然と父の後を継ぎたいと思って農学部を志望した。酒や農業について勉強するにつれ、父のすごさを知った。

 父が作る米でできた酒は福岡だけでなく、大阪や東京にまで販売が伸びている。味はもちろんいいが、(酒蔵や酒屋など)酒に関わる人が作業を手伝いに来てくれる。そのすべての人の思いがとてつもなくこもっているのだと思う。

 以前、酒蔵の人に「酒の良さを知るためにはいろんな酒を飲まないといけない」と言われたことがある。最初はいろんな酒を飲めば「味」が分かるようになるという意味だと思った。いろんな人と酒を飲み、さらにヒッチハイクで日本一周地酒巡りをした。30以上の酒蔵を訪れ、飲んだ酒は100種類を超えた。

 旅で気付いたのは、その土地で飲んだ地酒はどれもおいしいということ。それぞれに違いがあり、バックグラウンドや造る人の思いがある。糸島に帰って父の米で造った酒を飲んだが、改めておいしいと感じた。大好きな糸島で大好きな父が作った米でできているのだから。「酒の良さを知る」という言葉の本当の意味を知った。

 みなさんにも思い入れのある酒に出合ってほしい。味だけでなく、携わるすべての人の努力やこだわりといった思いごと飲んでほしい。だから将来は、米を作りながら、酒のバックグラウンドや思いを体感できる居酒屋を経営したい。酒の力を全開に発揮させる先駆者になり、その波紋を全国に広げていきたい。

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