佐賀牛肥育の現場を視察し、生産者の声を聞くシンガポールからの訪問団=2016年8月、西松浦郡有田町

 九州農政局が7日発表した2016年度の「九州食料・農業・農村情勢報告」(九州農業白書)は、農林水産物・食品の輸出を特集した。佐賀県関係では生産者やJA、自治体による海外展開の取り組みを紹介。輸出促進に向けては、鮮度保持技術の確立や産地間連携の強化、相手国・地域の輸入規制への対応などを提言した。

 県内の農林水産物の輸出実績(15年度)は、露地ミカンが697トンで最も多く、牛肉46・2トン、コメ9・2トン、イチゴ(さがほのか)6・2トン、梨5・2トンなどとなっている。輸出先は香港やシンガポールなどアジアが中心で、ミカンはカナダ、牛肉はアメリカなどにも輸出している。

 政府は農林水産物・食品の輸出額を19年までに1兆円に伸ばす目標を掲げており、海外需要に向けた「攻めの農業」への取り組みをさらに進める考えだ。白書では、世界の食の市場規模が09年の340兆円から、20年には680兆円に倍増すると推計。少子高齢化で国内市場が縮小する一方、海外は日本食への志向が高まっており、「大きな潜在力がある」と指摘する。

 県内では佐賀市など7市や3農協からなる「県農林水産物等輸出促進協議会」を07年5月に設立、海外への販路拡大を図る。16年度は香港、マカオ、シンガポールのほか、欧州連合(EU)の海外バイヤーも招いて産地視察や生産者との意見交換、試食会などを実施した。コメ、茶、ノリ、日本酒など主要品目の輸出モデルを構築するための調査事業も展開している。

 輸出促進の課題と方向性について、白書は品目や輸出地域別に提示。コスト低減のため船便が主体の野菜・果実は「鮮度保持技術の確立が東アジア以遠への出荷に必要」とし、畜産物では輸出先の検疫や規制の緩和・撤廃、現地食との融合をポイントに挙げた。

 国際的な食品衛生管理基準やイスラム教の戒律に従った「ハラル」認証、農業生産工程管理(GAP)の取得の必要性も強調。食品加工による付加価値向上にも触れ、「海外勢との競争で優位に立ち、収益を上げられる経営体質の実現にもつながる」としている。

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