最初はほんの小さな点にすぎなかった光が、時間がたつにつれて地図上にどんどん伸びていく。まるで毛細血管のように。その“光の軌跡”は、新聞配達員2285人の動きを表している。長崎新聞が作成した動画「The Way」である。昨年、新聞広告賞を受賞した◆配達員に衛星利用測位システム(GPS)の端末を持ってもらい、40日間にわたって集めたデータを映像に仕立てた。刷り上がった新聞を携えて、坂道を駆け上がり、棚田を越え、海を渡って離島へ-。光が伸びていくだけなのに、配達員たちの息づかいまで伝わってくる気がする◆GPSの扱いが焦点になった裁判が決着した。令状を取らずに、捜査対象者の車にGPS発信器を取り付けた警察の捜査は合法かどうか。各地の裁判所で判断が分かれていたが、最高裁は「令状なしは違法」とした。プライバシーを守るために一定の歯止めが必要と考えたのだろう◆今回の裁判では、窃盗の罪に問われた被告のバイクにGPS発信器が取り付けられていた。それも共犯者ばかりか、犯罪とは関係のない知人の車からも発信器が見つかったという。被告と知り合いというだけで、つぶさに追跡されていたわけだ◆デジタルが生み出す光は影をも呼び込む。知らぬ間にそっと監視されているかもと思えば、どうにも気色が悪い。(史)

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