国が提案した基金案の今後の対応を協議する3県漁協・漁連のトップたち=熊本市の熊本県漁連

 国営諫早湾干拓の開門を巡る訴訟の和解協議で、開門しない代わりの措置として国が示した総額100億円の有明海振興の基金案について、佐賀、福岡、熊本の3県の漁協・漁連のトップが12日、熊本市の熊本県漁連本所で今後の対応を協議した。佐賀は改めて拒否を表明し、受け入れに転じた福岡、熊本との統一回答を断念した。ただ、それぞれの回答に、有明海再生への取り組みを早期に求める趣旨で一部共通した文言を盛り込んだ意見書を添えることでは合意した。

 協議は非公開。佐賀は開門しないことが前提の基金案は受け入れるべきでないと主張し、福岡は基金案を受け入れつつも開門要求は続けるとした。熊本は「基金案を受け入れる以上、開門はもう言えなくなる」との認識で、開門調査に対する思いも温度差が生じた。

 終了後に3団体の代表が会見した。佐賀県有明海漁協の徳永重昭組合長は「なるべく3県で統一した回答をしたいと思っていたが、苦渋の選択」と説明し、「早くこの問題が決着することは大事だが、和解ということであれば、双方が納得するものでなければならない」と指摘した。

 福岡有明海漁連の西田晴征会長は「近年は二枚貝の発生が増え、兆しも見えている。この機会に待ってはいられない。矛盾するようだが、現実的な判断だ」と強調した。熊本県漁連の上田浩次会長は「(基金案を受け入れても)開門を要求できるものなら要求しますよ」と語気を強め、無念さをにじませた。

 協議を見届けた農水省の室本隆司農村振興局次長も会見した。長崎を含む沿岸3県が賛成、佐賀が反対を貫く状況に関し、評価を避けた上で「しっかり説明させていただいた上で開門派の原告が判断すること。単に多数決的な手段で原告に和解の受け入れを迫ることは適切でない」と語った。

 農水省は、沿岸4県と漁業団体から基金案の賛否の回答文書を受け、17日の和解協議で長崎地裁に報告する。

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