北朝鮮が再び弾道ミサイルの発射を強行した。約2千キロ以上とこれまでにない高度まで打ち上げ、新型の中長距離弾道ミサイルだと報道、米本土を狙う大陸間弾道ミサイル(ICBM)の開発に向けた技術開発がさらに進んでいることを誇示した。

 しかし、核開発やミサイル開発に伴う挑発の継続は、さらなる制裁強化を招くだけだ。自ら退路を断つような軍事増強路線の転換を図るべきだ。

 発射は、中国が今年の最重要会議の一つと位置づける現代版シルクロード経済圏構想「一帯一路」に関する国際会議が開幕した日に合わせるように実施された。米国と北朝鮮のにらみ合いを、外交的に打開しようと調整を続けている中国にとっては、実に挑戦的であり、顔に泥を塗られるに等しい発射だろう。

 北朝鮮には、4月の米中首脳会談以降、米国の制裁圧力の強化に足並みをそろえようとする中国への反発と共に、中国には北朝鮮を説得するだけの影響力はないことを示そうとする狙いがあったとみられる。

 しかし、北朝鮮の貿易総額で約9割を占める中国の存在感を否定、敵に回すような振る舞いに中国が反発し、制裁包囲網に本格的に加わることになれば、北朝鮮が最も重視する体制存続に深刻な打撃となることを認識する必要がある。

 中国は国連安全保障理事会の対北朝鮮制裁決議を「厳格に履行する」としているが、日米韓と同様の独自制裁に踏み込むことは抑制しているもようだ。

 中国が制裁で一線を越えないようにしている意図を北朝鮮はくみ取るべきだ。朝鮮半島の混乱を防ぎ、緊張を最小化しようとする努力の一環なのだ。

 今回の発射について、北朝鮮メディアは写真や動画を相次いで公開、原子力空母カール・ビンソンを朝鮮半島近海に展開させている米国との対決姿勢を強調している。米国に軍拡競争を仕掛けようとしているのなら、誤算だ。冷戦時代、米国との軍備拡張競争で、財政負担に耐えられず崩壊の道に向かった旧ソ連の教訓を今こそ想起すべきだ。

 トランプ米政権は条件付きながらも北朝鮮との対話に言及している。この局面で行われた弾道ミサイル発射は、対話を模索する流れと逆行する。

 北朝鮮は、軍事的脅威を最大限に高め、有利な条件での対話を準備しようとしているのかもしれないが、これも誤算だ。制裁圧力の強化しかもたらさず、自らを窮地に追い込むことになる。

 一方で北朝鮮の新型弾道ミサイルの登場は、日米韓のミサイル防衛に新たな課題を突き付けた。高度2千キロ超に打ち上げられた弾道ミサイルを迎撃するのは、現在の日本のイージス艦による迎撃システムでは、高度や落下速度の関係で極めて難しいとされる。米韓との連携強化が一層求められるゆえんだ。

 韓国で文在寅大統領が就任したのを契機に、北朝鮮への対応を巡り、早急に日米韓の首脳レベルによる意思疎通を図ることが必要だ。

 北朝鮮に融和的とされる文大統領に対し、北朝鮮は日米韓の協調体制を揺さぶろうと、韓国への対話攻勢を仕掛けることも予想される。関係国の足並みの乱れが、北朝鮮の核・ミサイル開発を助長させてきたことを忘れてはならない。(共同通信・磐村和哉)

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