グランプリ「PRIVATE ROASTER」を手に作品を解説する肥前吉田焼窯元協同組合の江口直人理事長=嬉野市の和多屋別荘

準グランプリ「Roll Pot」(デザイナー・midi/今村俊太・水口正夫)。鉢皿を軸に植木鉢を回転させ、日光の差す方向へ調整できる

優秀賞「Combi」(デザイナー・secca/上町達也・柳井友一)。双葉、三つ葉、四つ葉のような形の小皿。それぞれ重ねて収納できる

■10作品が入賞、商品化も

 肥前吉田焼(嬉野市)の再興を目指し、初開催された「肥前吉田焼デザインコンペティション」の入賞10作品が決まった。グランプリは、東京都のデザイナー濱名剛さんが手掛けた自家焙煎(ばいせん)器「PRIVATE ROASTER」で、他の受賞作も斬新な視点の秀作がそろっている。

 濱名さんの作品は、コーヒー豆や茶葉のハンドロースター。円盤状で上部の穴が内側にくぼんだ独特な形で、じか火にかけるため耐熱用陶土を使った。販売予定価格は9000円。濱名さんは「こだわって焙煎したいという需要が高まっているが、選べる道具がない。かっこいい一番手になれば」と語る。

 準グランプリは植木鉢と鉢皿のセット。鉢は底が球面で、日光の差す方向へ回転できる。そのほかの優秀賞と産地賞(各4点)も、波紋をデザインに取り入れたプレートのほか、二葉、三つ葉、四つ葉型の皿、小判がモチーフの小皿やモダンな形のだるまなどアイデアに富む作品が選ばれた。

 肥前吉田焼は有田と同時期に磁器生産を始め、江戸期は海外にも輸出。戦後は大衆雑器を生産してきたが、生産量はバブル期の8分の1まで減少し、流通改革や人材育成が課題となっている。

 今回のコンペは一般財団法人の助成を受け、市が設計事務所「オープン・エー」(馬場正尊代表)と委託契約を結んだ地域再生事業の一環で、昨年秋に公募した。審査員には小売や流通業界のトップランナーも加わり、入賞作は全て商品化するとあって国内外から167作品が寄せられた。産地の歴史や生産体制を知ってもらうため産地見学会も開き、グランプリの濱名さんも見学会で応募を決めたという。

 記者発表会が10日、嬉野市の和多屋別荘であり、肥前吉田焼窯元協同組合の江口直人理事長は「デザイナーと私たち窯元、消費者、後継者、異業種関係者らさまざまな人をつなぐことができたコンペだった。産地としての道筋が見えてきた」と手応えを語った。

 受賞作を含む展示会を16~26日、東京・表参道のスパイラルガーデン「MINA-TO」で開くほか、受賞作の展示販売会を5月31日から6月4日まで、新宿伊勢丹で予定している。

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