福岡県と大分県を襲った記録的な豪雨は「線状降水帯」と呼ばれる帯状に連なった積乱雲がもたらした。過去にもたびたび災害の原因となってきただけに、気象庁は警戒を促す発信に追われた。

 気象庁によると、梅雨前線は九州の北で停滞し、5日昼ごろから、前線に向けて大量の水蒸気を含んだ風が南西から流れ込み、北西からの風にぶつかって上昇気流となり、積乱雲が次々に発生。線状降水帯となり、西寄りの風に乗って福岡県や大分県の狭い範囲に長時間の大雨を降らせた。

 ひとつの積乱雲は局地的に雷を伴った大雨を降らせるが、雲の中にため込んだ水分を一気に地表に落とすため、通常は30分~1時間程度で衰退する。線状降水帯では連続して発生した積乱雲が幅20~50キロ、長さ50~300キロにわたって連なり、すぐに次の積乱雲が上空にかかるため、狭い範囲に積乱雲がかかり続け、大雨も数時間続く。

 線状降水帯が大きな被害をもたらしたのが、2015年9月の関東・東北豪雨だ。台風で運ばれた湿った空気が積乱雲を発生させ、少なくとも10個の線状降水帯ができたとされる。栃木県日光市で降り始めからの総雨量が600ミリを超えるなど同県と宮城、茨城の3県で大雨が降り、鬼怒川の堤防が決壊するなどして8人が犠牲になった。

 今回の豪雨では、5日昼ごろから線状降水帯が形成され始め、すぐに大雨になった。気象庁は警報や土砂災害警戒情報のほか、午後1時半ごろから記録的短時間大雨情報を連続して出し、警戒を呼び掛けた。福岡県朝倉市では、午後3時38分までの1時間の雨量が129・5ミリとなり、夜まで猛烈な雨が続いた。

 気象庁は午後5時51分に福岡県、午後7時55分に大分県に大雨特別警報を出し最大限の警戒を求めた。気象庁の予報担当者は「線状降水帯の形成やどこに流れるかは、わずかな地形や風向きの違いに左右され、予測が難しい」と話した。【共同】

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