14日、米次期通商代表として議会公聴会に臨むライトハイザー氏=ワシントン(ロイター=共同)

 【ワシントン共同】米通商代表部(USTR)代表に指名されたロバート・ライトハイザー氏(69)は14日、議会上院の指名公聴会に臨み、農業分野の通商交渉で「日本は第一の標的になる」と強調、日本に農業分野の市場開放を強く求める考えを示した。

 日本など環太平洋連携協定(TPP)参加国と2国間交渉を推進するとし「TPPを上回る合意を目指す」とも指摘。米国にとって、より有利となるよう関税や非関税障壁の見直しを迫る構えで、日本が厳しい交渉を迫られるのは必至だ。

 ライトハイザー氏は「日本に対する農産物開放の要求はとても優先度が高い。農産物の貿易に関して多くの障壁を残したままでいるのは理解できない」と述べた。

 1980年代のレーガン政権時代にUSTR次席代表を務めたライトハイザー氏は、日本に鉄鋼輸出の自主規制を認めさせた実績の持ち主。公聴会ではトランプ大統領の「米国第一」の姿勢に沿って「より自由で公正な」貿易を目指すと表明。通商紛争には「厳格な態度で臨む」と強調した。知的財産権の保護にも積極的に取り組むとした。

 輸出拡大目的で自国通貨を安く誘導する国への対策を掲げるトランプ氏は、中国を為替操作国に指定すると主張してきた。ライトハイザー氏はこれについて「以前は為替操作をしていたと思うが、現状は分からない」としつつも「世界貿易機関(WTO)は国家の影響力が強い中国のような国との交渉の場として設立されたわけではない」と指摘。反ダンピング関税など米国独自の対応を強める考えをにじませた。

 ライトハイザー氏の要求の念頭にあると考えられるのは、コメなど日本が「聖域」としたい重要5項目だ。日本はTPPで米国向けの無関税のコメ輸入枠新設や、牛・豚肉関税の段階的な引き下げなどの譲歩をした。

 TPPを上回る関税削減要求などに応じれば業務用米に注力するコメ産地や廃用乳牛の牛肉を出荷する酪農業など、安い輸入品と価格帯で競合する農家が真っ先に影響を被りかねず、日本の農業は試練を迎える。

=解説=日本の重要5項目に狙い FTA視野、米、鮮明に

 米通商代表に就任予定のライトハイザー氏が農業分野の通商交渉で「日本は第一の標的になる」と明言したことで、トランプ政権が日本との自由貿易協定(FTA)締結を視野に入れていることが一段と鮮明になった。米側は日本が守りたいコメや牛・豚肉、乳製品などの重要5項目に狙いを定め、市場開放を強硬に要求しそうだ。

 安倍政権は環太平洋連携協定(TPP)交渉で、重要5項目に分類される品目のうちの一部で関税撤廃を容認せざるを得なかった。ライトハイザー氏は「TPPを上回る合意を目指す」と説明。米国とのFTA交渉が始まれば、安倍政権はTPPでは関税撤廃を免れた品目でも大幅譲歩を求められる可能性が高い。

 「米国第一主義」を掲げるトランプ政権との新たな通商交渉に不安を抱く農家は少なくない。4月中旬にも始まる日米経済対話にどのような方針で臨むのか。安倍政権は早急に戦略を固める必要に迫られている。(ワシントン共同=栗原和大)

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