落語家の桂歌丸さん(80)は15歳の時に、「おばあさん落語」で知られた五代目古今亭今輔師匠に入門した。最初に習ったのは「峠の茶屋」という、師匠得意のおばあさんが出てくる噺(はなし)◆師匠が「じじい、ばばあ、って言ってみろ」と言う。まねして発すると、違うとばかりに返した。「じじい」って言う時は歯で発音し、「ばばあ」は唇で発音しなさい-。表現は品良くないが、とても分かりやすく教えてくれた。帰ってすぐノートに書き取り、勉強を重ねて一つの噺を覚えるのに半年かかることもあったと、自著に記している◆今の若い人の勉強のスタイルは違う傾向があるようだ。日本の高校生は一夜漬けの勉強が多く、授業は受け身がち-。国立青少年教育振興機構が実施した日米中韓の4カ国調査でそんな結果が出た◆勉強の仕方を尋ねたところ、「試験前にまとめて勉強する」を選んだのは日本が最も多かった。逆に「勉強したことを実際に応用してみる」では日本が最低に。板書を写すといった昔ながらの授業では、生徒自ら課題を見つけて解決に取り組む意識が育たないということだろうか◆師匠の丁寧な教え方に、歌丸さんの噺家仲間も驚いたそうな。師匠の指導力と応えた歌丸さんの努力があっての不動の人気ということだろう。何事もコツコツと。お後がよろしいようで。(章)

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