佐賀市西与賀町の県有明海漁協本所。オスプレイ配備計画に関して県議会が受け入れを求める決議を可決しており、漁業者の今後の対応が注目される

佐賀空港への自衛隊オスプレイ配備計画概要を記し、反対を訴えるチラシ

■県、自民県議「理解」働き掛け強化 

 佐賀空港への自衛隊新型輸送機オスプレイの配備計画について、佐賀県議会が受け入れを求める決議をしてから10日で1週間。県や自民党県議は早速、計画への理解を得るための働き掛けを強め、駐屯地予定地を所有する漁業者には反発や孤立への危機感が広がっている。県有明海漁協は支所ごとに意見集約に入るが、有明海の振興策などを巡って反対にも「温度差」があり、今後の動きは見通せない部分もある。

 「漁業者だけが反対しているような動きをつくられているようで怖い」。県民世論調査で配備計画の賛否が拮抗(きっこう)している中、地権者の大半が所属する漁協南川副支所の田中浩人運営委員長は漁業者の動向がクローズアップされることを危惧した。

 県議会決議や県の論点整理素案は「漁業者の理解」なしには計画実現は困難として重要性を強調する。3日の決議直後、漁協本所には自民党国会議員と県議が訪問、翌日には池田英雄副知事が漁業者から意見聴取することに協力を要請した。各支所にも地元県議が足を運ぶ。8月の来年度予算の概算要求をにらみ、推進の動きが活発化している。

 ヤマ場を迎える中、漁協は6月末の総代会で、交渉の中心的な役割を担ってきた専務理事が交代した。ある関係者は、ノリの有力商社との関係や有明海再生の議論の進め方で一部から反感を買っていたと解説する。全15支所の半数近い7支所では運営委員長も新しくなった。

 7日の運営委員長・支所長会議では、計画への対応で苦慮することがないよう漁協の統一見解を求める声が上がり、各支所の意見を取りまとめることになった。徳永重昭組合長は諌早湾干拓事業の開門問題を背景とした国への根強い不信感を挙げ、「賛成という所はないのではないか」と見通す。

 一方で、元運営委員長の佐賀市の漁業者は「外から見ると、漁協は反対でまとまっているように見えるかもしれないが実際は温度差がある」。有明海再生が進まない将来的な不安から、「地権者ではない支所は、口では反対と言っていても最後は金や振興策次第で変わるかもしれない」。

 国や県の方針に反発することを危惧する声も漏れる。「計画を佐賀県が蹴ったら、有明海沿岸道路に予算が付かなくなると県議に言われた」と県南西部の漁協幹部経験者は明かす。

 ノリ漁は国や自治体の補助に頼る側面もあり、地権者である運営委員も「国に盾突く一方で『支援してください』とも言わなければいけない。心理的には大丈夫かという不安や心配も小さくはない」とし、「うちは反対を貫くが、どこかが切り崩されて容認に転じたら、そこからドミノ倒しのように広がっていかないか心配」。疑心が渦巻く。

 ノリ漁は9月から本格化するが、支所の意見集約は期限を区切っていない。県南西部の漁協幹部は「有明海をベースに考えるという点ではみんな同じだが、オスプレイは二の次で諫干の問題が先。結局は開門問題とリンクさせて、一定の解決策を示さない限り議論は前に進まない」とけん制する。

■計画、詳しく知って 反対住民の会、川副町全戸にチラシ

 佐賀空港への自衛隊新型輸送機オスプレイ配備計画に反対する地域住民の会(古賀初次会長)が、計画の概要を記したチラシ1万枚を作成した。空港の地元である川副町全戸に向けて配布、「地域住民に計画のことをもっと知ってもらい、将来基地ができたらどうなるか考えてほしい」と呼び掛けている。

 文面は計画概要を示した上で、安全性や騒音、基地からの排水を懸念し、空港建設時の「自衛隊との共用はしない」という公害防止協定の存在を指摘したほか、「銭は1年、海は万年」として今後の土地取得を巡る駆け引きを警戒している。

 住民の会は、佐賀県が5月末に配備計画の「論点整理」素案を公表後、チラシの準備を進めてきた。県の素案は国防に協力する基本的立場で大半を一定評価していることを挙げ、「オスプレイ導入の『色あい』になっている」と批判した。

 県議会では自民党などが提出した計画の「受け入れ」を求める決議も可決された。9日に西川副校区で配布した古賀会長は「もう受け入れが決まったと思っている人もおり、誤解を解きたい。今からが本当の戦いになる」と強調し、川副町以外でも知人や集会などを通じて配る考えを示した。

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