開門しない前提の基金案について意見を交わす農林水産省の佐藤速水農村振興局長(左列の右から2人目)と佐賀県の山口知事ら=佐賀県庁

■漁業者反発「どう喝と同じ」

 国営諫早湾干拓事業を巡り、農林水産省の佐藤速水農村振興局長は13日、仮に開門調査をした場合、その間は有明海再生事業を実施しない可能性があるとして、両立は難しいとの見解を示した。並行すれば干拓事業と漁業環境悪化の因果関係がはっきりしなくなると説明した。開門調査と有明海再生を区別するような考え方に、漁業者からは批判の声が上がっている。

 佐賀県の山口祥義知事と面談した後、記者団の質問に答えた。佐藤局長は開門調査について「佐賀だけでなく福岡、熊本でも強い思いはあると認識しているが、実際にできるのかという問題がある。開門調査をしている間は、原因を特定するためにも再生事業がストップする可能性が出てくる」と述べた。

 開門調査の目的を、「諫早湾の干拓事業が、有明海の水質悪化や漁獲高減少の原因であると言えるのかどうかを調べること」と定義した。その上で「開門調査をやったときに、一方で再生の取り組みを進めて海がきれいになれば、干拓事業との因果関係がはっきりしなくなる可能性がある。科学的に分析する場合は、そのような議論が起こることも考慮しなければならない」と理由を語った。

 農水省の主張に対し、開門派弁護団の馬奈木昭雄弁護団長は取材に「開門調査と再生事業が相まって漁業環境が改善することは喜ぶべきことなのに、局長の発言は論理が合わない。開門させないための言いがかりであり、どう喝と同じで、国は本気で有明海再生を考えていない」と厳しく批判した。

 開門派の原告で、和解協議に参加している漁業者の大鋸武浩さん(46)=藤津郡太良町=は「詭弁(きべん)としか思えない。開門と両方実施して海が良くなれば、開門の効果もおのずと分かる」と強調した。漁業者の平方宣清さん(64)も「海が少しでも早く再生できるのなら、開門と再生事業を両方するべき」と指摘した。

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