研修会では事例発表などで理解を深め、女子力による農業・農村の活性化策を探った=佐賀市のグランデはがくれ

「女性が農業経営に参画することで〝いいこと〟がある」と語る農水省女性活躍推進室の久保香代子室長

 農業技術や農村経営のリーダーとなっている農業者でつくる佐賀県農業士会(水田強会長)の研修会が11日、佐賀市のグランデはがくれであった。農水省の農業女子プロジェクトの説明や、県内で活躍する女性農業者の事例発表を受けて意見交換し、女子力による農業・農村の活性化策を探った。

 研修会には会員や女性農業者グループ「カチカチ農楽(のら)が~る」(黒木貴子会長)のメンバーら約70人が参加。農水省女性活躍推進室の久保香代子室長が講演し、女性活躍の意義や国の支援策を説明した。家族経営協定の制度説明やワークショップもあった。

 意見交換会は、佐賀市三瀬村で農家民宿「具座」を手がけている会員の藤瀬みどりさんや、「農楽が~る」メンバーの活動事例発表に、農水省や県の関係機関の担当者が助言する形で行われた。

 「農楽が~る」では、SNSを使ってメンバー同士が迅速な意思決定をしており、参加者からは「知り合いがいない土地に嫁ぎ、地の利がない女性にとって、地域や経営作物の枠を超えて交流できる組織は大事」「もうかるというより、楽しくやれることが大切」といった声が上がっていた。

【講演要旨】

■女子参画で利益増加 推進へ支援策を充実

 (農水省女性活躍推進室長 久保 香代子氏)

 主に農業に従事する人175万人の平均年齢は67歳で、65歳以上が全体の65%を占めるが、40代以下は10%にすぎない。今後10年を考えると、今若い人が参入していかないと食糧供給そのものが難しくなる。

 女性割合は43%で、年齢別でみるとやはり高齢者が多く、40歳以下はわずか7・5%だ。

 女性活躍の一つの指標となる農業委員の女性登用は8・5%で平均をやや上回り、農協の女性役員は9・7%で全国8位だが、リーダーの役割を果たしている人はまだまだ少ないという現実がある。

 一昨年3月の閣議決定で女性農業者が能力を最大限発揮できる環境の整備を推進することが初めて盛り込まれた。方針に沿った施策を展開する中で、女性が頑張るだけでなく、男性の理解が欠かせないことも実感する。男女で固定されている役割意識も考え直す時代にきている。

 女性が農業経営に参画することで「いいこと」がある。農産物の販売金額規模が大きい農家ほど女性の参画率が高い傾向があるのだ。直接販売や加工、農家民宿など多角経営の農家も女性比率が高い。さらに、女性が経営者であったり、役員・管理職で関わっていると、経常利益の増加率が大きいという日本政策金融公庫の調査結果もある。

 農作業や家事の分担、労働時間や休日などを定める家族経営協定も強く勧めている。農業者年金などさまざまな制度上のメリットもあるが、協定締結をワークライフバランスを考えるきっかけにしてほしい。

 農水省の支援策も充実させており、「農業女子プロジェクト」もその一つ。次世代リーダーを育てる経営塾では、交通費を補助金から支出し、東京のマルシェでの販売実習やバイヤーとの商談会など実践的な内容で経営を考えてもらう。佐賀県からも参加があり、新年度も予算要求をしているので参加してほしい。

 農業女子プロジェクトの登録者は500人を超えており、まだまだ増やしたい。協賛企業とのタイアップで、カラフルな軽トラックやアンダーウエアなどコラボ商品も続々開発が進んでいる。教育分野にも進出し、女子高や農業系大学にメンバーを派遣して職業の選択肢に農業を加えてもらおうとしている。

 昨年末、G7各国で農業における女性や若者の活躍推進に向けた国際フォーラムを開いたが、各国とも女性の活躍が十分評価されていないと感じる部分も多かった。農業に対するネガティブなイメージが課題のようで、行動力やネットワークをつくる力など、女性の強みの生かし方について語り合った。農業女子をはじめ、日本の取り組みを世界に発信していければと思う。

このエントリーをはてなブックマークに追加