ユネスコの世界遺産委員会で、世界文化遺産登録が決まった福岡県宗像市・神湊の沖約60㌔にある沖ノ島。手前の岩礁は(左から)小屋島、御門柱、天狗岩=3日(共同通信社ヘリから)

■対外交流示す「神宿る島」 ユネスコ

 【クラクフ共同=佐野俊介】ポーランド・クラクフで開催中の国連教育科学文化機関(ユネスコ)世界遺産委員会は9日、東アジアの交流の歴史を示す福岡県の古代遺跡「『神宿る島』宗像・沖ノ島と関連遺産群」を世界文化遺産に登録することを決めた。構成資産の半数の除外を求めた諮問機関の勧告を覆し、日本が推薦していた8資産全ての登録を決定した。

 国内の登録は2013年の「富士山」(山梨、静岡)以降5年連続で、文化遺産17、自然遺産4の計21件になる。沖ノ島は原則として一般の立ち入りが禁じられているが、九州本土にある宗像大社なども登録されることになり、地元の観光振興への期待も高まりそうだ。

 勧告で登録が妥当とされた玄界灘に浮かぶ沖ノ島(宗像大社沖津宮(おきつみや))と周辺3岩礁に加え、中間の離島・大島にある宗像大社中津宮(なかつみや)と沖津宮遥拝所、本土の宗像大社辺津宮(へつみや)、新原(しんばる)・奴山(ぬやま)古墳群が逆転登録となった。古墳群は福津市、それ以外は宗像市にある。

 沖ノ島では4~9世紀、対外交流の成就を祈る国家的祭祀(さいし)が行われた。朝鮮半島や中国、中東からもたらされた金製指輪や鏡、カットグラスなどの奉献品が出土し「海の正倉院」とも呼ばれる。3岩礁は島に向かう船が通る海上の鳥居の役割を果たす。

 日本は推薦書で、沖ノ島そのものを神と見なした古代信仰が形を変えて現在の宗像大社信仰につながっていると説明し、8資産の一括登録を求めた。5月に除外勧告が出た後からパリのユネスコ日本政府代表部を通じて委員会を構成する21カ国への働き掛けを続けたほか、審査会場では宮田亮平文化庁長官もロビー活動を展開し、各国の賛同を得た。

 委員会では勧告を尊重するべきだとの慎重論もあったが、「8資産は分割できない」との意見が相次ぎ、最終的には21カ国が一括登録を支持した。宮田長官はお礼のスピーチで「人類の宝として認められたことをうれしく思う。貴重な遺産を将来世代のために保存していく」と述べた。

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