改正組織犯罪処罰法が11日に施行され「共謀罪」が新設される。ひそかに進められる犯罪の計画をつかむのは難しく、捜査機関の間では「立件のハードルが高く、しばらく適用されない」との観測が出ている。一方、刑事弁護を手掛ける弁護士は「最初は慎重でも、運用の過程で対象が広がっていく可能性がある」と懸念する。 

 政府は国会審議で、共謀罪新設の目的はテロの未然防止だと強調。「テロ等準備罪」の呼称を使い、当初案になかったテロリズム集団の文言を条文に加えた。

 だが、大阪府警幹部は「実際に使えるのは暴力団や薬物密売組織といった既に見えている犯罪組織だろう」と指摘。福岡県警幹部は「暴力団の摘発に有効かもしれないが、具体的なイメージが湧かない。過去に(共謀罪を)使えたかもしれないという事例も思い浮かばない」と話す。

 公安部門の警察幹部は「今はローンウルフ(一匹おおかみ)によるテロを警戒しているので、必要なのは組織に属さずに1人で準備を進めている人間の情報」とし、単独犯を対象としない共謀罪はテロ対策にはそぐわないとの見方だ。

 共謀罪を適用するには「組織的犯罪集団」のメンバーらが2人以上で犯罪を計画し、現場の下見などの「準備行為」をする必要がある。愛知県警幹部は「犯罪集団や準備行為の認定基準がはっきりしない。計画も場合によっては内心の問題になる」と話し、実際の運用には慎重な姿勢を示す。

 捜査のきっかけとなる情報はどうやって入手するのか。警察庁幹部は「現状で端緒が得られているのは、既に実行された犯罪ばかりだ」と明かす。検察幹部も「関係者の自首や余罪の取り調べで計画が判明するかもしれないが、何もないところから適用するのは机上の空論だ」と解説する。

 共謀罪に詳しい山下幸夫弁護士は「すぐに適用されないかもしれないが、最初は暴力団など誰も文句を言わないようなケースで適用し、やがて対象が広がっていくのではないか」と話した。【共同】

このエントリーをはてなブックマークに追加