フジテレビ本社=東京都港区台場

■新社長・宮内氏に歓迎の声も

 フジテレビの日枝久会長(79)と亀山千広社長(60)が退任する。視聴率が不振を極め、フジの顔として黄金時代を築いた2人が“降板”に追い込まれた形だ。経営トップの刷新で苦境を打開できるのか。

 「新しい風を吹かせる必要がある。その観点で人事を考えたい」。今月9日、日枝氏は共同通信の取材にこう答えた。11日に公表されたのは、同氏が代表権のない取締役相談役に退き、亀山氏がビーエスフジ社長に、同社の宮内正喜社長(73)がフジ社長にスイッチする人事だった。

■「3冠」から陥落

 亀山氏は「ロングバケーション」などの大ヒットドラマを手掛けたプロデューサーで、2013年に社長就任。フジは11年に7年続いた視聴率「3冠」から陥落し、亀山氏が制作面で見せた手腕に期待が集まった。常務就任からわずか1年の大抜てきには、社内で強い影響力を持つ日枝氏の意向もあったとみられる。

 亀山氏の社長就任後、フジは大胆な施策を次々と打ち出す。14年には、長寿番組「笑っていいとも!」を終了させ、社員約千人の大規模異動も敢行。その後も大幅な番組改編を何度も実施した。だが視聴率は上向かないまま。「異動や改編で社内はむしろ混乱した。優秀な制作者だった分、現場への意見も多かった」(社員)など、亀山氏への期待は徐々に失望に変わっていった。16年度の視聴率も民放キー局4位にまで落ち込み、ついに退任となった。

 日枝氏は88年の社長就任から30年近くフジを率いた実力者だけに、会長退任には驚きの声も。フジグループ幹部は「業績改善に向け、亀山さんだけ外すわけにはいかなかったのだろう」。日枝氏は会長退任の発表前、「不振の責任は全て僕にある」と語った。

■「変わるのでは」

 新社長の宮内氏は、07年にフジ専務から岡山放送社長に転じ、岡山市中心部の商業施設に番組制作機能をすべて移転させる異例の取り組みで注目された。15年に社長就任したビーエスフジも経営は好調だ。

 フジ若手社員は「ビーエスは自由で楽しい雰囲気。うちも変わるのでは」と宮内氏就任を歓迎。フジグループ幹部も「編成にも経営にも精通し、人の使い方がうまい」と太鼓判を押す。一方、フジベテラン社員の1人は日枝氏が取締役やフジサンケイグループ代表にとどまる点を疑問視し「上層部の実質的な人間関係は変わらない。上を気にせず、面白い番組を作るしかない」と淡々と語った。

 元フジプロデューサーの吉野嘉高筑紫女学園大教授は「一つでも番組をヒットさせ、それを起爆剤に全体の雰囲気を変えることが肝心。新たな体制で、過去の『フジテレビらしさ』を一度取り払ってみてもいいのではないか」と指摘した。【共同】

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