国や自治体に刑務所を出た人の再犯を防ぐ取り組みを義務付ける「再犯防止推進法」が成立した。服役を終えても、仕事も住居もなく、社会復帰が困難な人の支援を促す法律だ。特に重要なのが高齢者対策だろう。

 2014年に出所した人が2年以内に再入所した割合は18・5%。政府はこの割合を21年までに16%以下にする目標を掲げている。16年版の犯罪白書によると、15年に刑法犯で刑務所に収容された65歳以上の高齢者は2313人で、ほぼ7割が2回目以上の入所だった。6回目以上も871人に上っている。高齢者対策の重要性を示す数字だ。

 一般的に軽微な罪なら被害弁済して謝罪し、身元引受人を立てることで服役しなくてすむこともある。だが仕事も金もなく身寄りもない人には難しく、入所を繰り返す一因になっている。特に高齢者にそうしたケースが多い。出所しても帰る場所がないことから、入所したいがために罪を重ねることもある。

 対策として、出所後の「居場所」をいかに確保するかが鍵だろう。これまでも刑務所での職業訓練や教育を充実させたり、出所者の雇用に協力する企業を増やしたりと、さまざまな取り組みが進められてきたが、推進法の下で一層の広がりが求められる。

 4年前、政府の犯罪対策閣僚会議は「再犯防止に向けた総合対策」を決定した。高齢者と薬物依存者は重点対策の対象とされたが、摘発や入所は後を絶たない。

 15年の刑法犯摘発は戦後最少の23万9355人だったが、高齢者をみると4万7632人で1996年の3・8倍にも膨らんだ。過去最悪の数字で、入所も96年の4・5倍に達している。さらに11年に出所した2万8558人を追跡調査したところ、5年以内に再び罪を犯したのは1万1086人。うち高齢者は991人で、4割は出所して再犯に至るまで半年未満だった。

 刑務所を出た人の社会復帰を支える制度としては、保護司の委嘱や保護観察中の人を雇う事業所を「協力雇用主」として登録する制度がある。協力雇用主に奨励金を出す制度も昨年から導入された。高齢者対策として、年金受給手続き指導や、出所後すぐに福祉関係施設に入れるよう服役中からあっせんする「特別調整」も進めている。ただ、特別調整に同意する人は増えてはいるが、施設での集団生活を嫌がって拒否するケースも多いという。

 佐賀県内の支援状況はどうだろう。佐賀保護観察所によると、県内の協力雇用主は11月末現在で127事業所。8年前の3倍で、昨年末から19事業所増えている。奨励金制度の利用件数は2015年度は28件、本年度は14件という。保護司数は528人で定数(550人)の96%。この比率は九州でも高いという。協力雇用主の増加と併せ、出所者の社会復帰への関心は高い自治体といえそうだ。

 今回の法施行では、法務省が専門部署を新設してまとめる推進計画に基づき、各自治体が施策を実施することになっている。支援団体と官民が協力し、地域の実情に応じた受け皿や制度を拡充する必要がある。息の長い取り組みになるが、知恵を出し合いたい。(小野靖久)

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