「九州の銅鐸工房 安永田遺跡」を手にする藤瀬禎博さん。表紙写真は出土した鋳型をもとに復元した銅鐸

 九州で初めて銅鐸(どうたく)鋳型が見つかった鳥栖市柚比(ゆび)町の国史跡・安永田(やすながた)遺跡の発掘成果をまとめた「九州の銅鐸工房 安永田遺跡」が刊行された。考古学的に重要な日本各地の遺跡を各巻一カ所ずつ紹介する新泉社(東京)のシリーズ「遺跡を学ぶ」の114巻。発掘調査を担当した元市教委職員で鳥栖郷土研究会会長の藤瀬禎博さん(69)が執筆した。

 1980年1月17日、発掘事務所で土器片を整理中に見かけぬものが見つかった。裏返すと真っ黒に焼け、斜線と鳥の文様がくっきりと刻まれていた。もしかして銅鐸では-書き出しは、学史に残る銅鐸鋳型の発見シーンから始まる。

 当時、銅鐸の遺物は九州で見つかっておらず、「近畿中心の銅鐸文化圏」と「北部九州中心の銅剣・銅矛文化圏」の二つに分かれていたと考えられていた。安永田での鋳型出土はその定説を覆す大発見だった。

 全5章で構成。鋳型片が見つかったことへの戸惑いと検証の過程を丹念にまとめ、成果を解説している。藤瀬さんは「この遺跡は鳥栖が古代も先進地であったことを証明している。ぜひ誇りに思ってほしい」と話している。A5判96ページ。1600円(税別)。

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