保護者に付き添われ、泥の残る道を登校する福岡県朝倉市立大福小の児童たち=10日午前

■小中学夏休み前倒し喜べず

 九州豪雨で甚大な被害に遭った福岡県東峰村は、通学が難しい状況を踏まえて小中学校の1学期の終業を繰り上げ、10日から夏休みとした。被害が激しい朝倉市も10日に終業式を実施。児童や生徒は朝、泥でぬかるんだ道を慎重な足取りで登校した。楽しいはずの夏休み入りを「喜べない」との声も聞かれた。

 朝倉市の市立大福(だいふく)小に向かう5年生徳永皓喜君(11)は「休校中、泥で汚れた家の前の道路を家族と掃除していたので疲れた」。通学路が土砂でふさがり遠回りしなければならないことなどから、多くの児童を保護者が車で送り迎えしていた。

 市立朝倉東小は、児童の約2割が自宅に土砂が入るなどし、避難所や親族宅に身を寄せているという。同小5年田中聖君(10)は下校時、「(友達の)元気そうな顔を見られてよかった」と安心した様子。ただ、夏休みの開始が早まったのは「水害のせいだから」と話し、表情を曇らせた。

 市立比良松(ひらまつ)中学校では終業式に先立ち全校集会が開かれ、約160人の生徒が黙とう。坂井満校長(57)は「苦しい、悲しい、大変なこともあるかもしれないが、顔を上げて復旧・復興に努めよう」と呼び掛けた。

 一方、避難所生活が長引き、悩みも増えている。東峰村役場に避難中の佐々木義秀さん(78)は、便秘に悩んでいると打ち明け「歯が悪いので、やわらかいものを食べたい」と訴えた。

 朝倉市は、特に被害が激しい杷木地区の5校で終業式を開くのを見送った。大分県日田市は10日、被害が大きかった地区にある小学校と中学校1校ずつで、20日に予定していた終業式を14日に繰り上げることを決めた。各自治体は授業時間確保のため、2学期の始業を早める予定だ。【共同】

■福岡・東峰村避難指示出さず

 福岡県東峰村の渋谷博昭村長は10日、九州豪雨が襲った5日に気象庁が大雨特別警報を発表した後も避難指示を出さなかったことに関し「避難勧告段階で相当の雨が降っていた。避難を命じ、家を出ることを強いるのは危険と判断し、個人の判断に委ねた」と説明した。報道陣の取材に答えた。

 今回の豪雨で気象庁は、5日午後1時14分に大雨洪水警報、午後2時10分に土砂災害警報を発表。午後5時51分には福岡県に特別警報を出し「最大級の警戒」を呼び掛けた。一方、村は午後2時17分に避難準備情報、午後3時15分に避難勧告を全域に発令。指示には切り替えず、防災行政無線や屋外設置のスピーカーで避難を呼び掛けた。村では家ごと土砂にのまれて3人が死亡した。

 同様に甚大な被害を受けた福岡県朝倉市は3時半~7時10分に、大分県日田市は6時45分にそれぞれ避難指示を出した。

 2009年8月に20人が死亡した兵庫県佐用町の豪雨災害では、避難中に流されたことによる死者が出た。この教訓から、内閣府は14年、自宅で安全を確保することも避難行動の一つとするよう避難勧告・指示のガイドラインを改定した。【共同】

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