佐賀新聞社が実施した首長アンケートで、佐賀県内の市町のうち、九州電力玄海原発(東松浦郡玄海町)で重大事故が発生した場合の避難計画に8市町が「不満」と回答した。放射線被害が半径30キロ圏を超えた場合や、多くの避難者の受け入れなどに不安を訴えた。それ以外の市町も周知や訓練の徹底などを求めており、計画のさらなる見直しが課題となっている。

 県内で避難の対象になる住民は、半径30キロ圏内にある玄海町と唐津、伊万里両市の約18万8千人。3市町はそれぞれ県内の17市町と覚書を交わし、地区ごとに避難者を受け入れる施設を決めている。事故時は原発の状況や原発からの距離に応じて段階的に避難する。

 避難計画への評価を尋ねたところ、「十分」と答えたのは玄海町だけ。「不満」は佐賀市や伊万里市など8市町、「どちらとも言えない」は唐津市や多久市など9市町だった。大町町と江北町は回答していない。

 県内で最多の約5万2千人を受け入れる佐賀市は、人数的には可能としながらも「想定外で一斉に受け入れることになれば現実的に難しい」と答えた。町人口の8割超に相当する伊万里市民約7800人が避難する太良町は「渋滞や事故が起きるなど町民が生活ができなくなる」と、受け入れに関する不安を挙げた。

 福島第1原発事故を経験し、放射線被害が広域化した場合を懸念する声も上がる。半径30キロ圏のすぐ外側にある有田町は「町民の避難もあり得る」、吉野ケ里町は「町民の避難計画は立てなくて良いのか」、鹿島市は「鹿島市民が避難するケースが触れられていない」と指摘した。

 半径30キロ圏にある伊万里市は「避難道路に歪曲(わいきょく)した道路があり、スムーズな避難に支障をきたす恐れがある」としている。

 唯一「十分」とした玄海町も「『完全』にはまだまだ条件がある」として、県全体への広報の徹底などを求めた。「どちらとも言えない」とした市町からは、対応する設備や予算面の心配、受け入れ訓練の徹底などを求める声が上がった。

 玄海原発に関しては、広域的な避難計画となる「玄海地域の緊急時対応」が昨年12月、政府の原子力防災会議で了承されている。

 佐賀県は「客観的に一定の評価がなされた」との考えを示し、「訓練などを通じて不断に見直していく」と回答した。

 県外の自治体では、壱岐市だけが「十分」と回答した。福岡、長崎両県と4市町は「どちらとも言えない」を選択し、「要援護者のスムーズな避難や受け入れ体制など検討が必要」「バスなどの確保に課題があり、ルートもさらなる道路整備が必要」などの意見があった。

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