「痕跡」(2011年、紙にペン、インク、61×91・3㌢、個人蔵 (c) IKEDA Manabu Courtesy Mizuma art Gallery)

■“日本沈没”への恐怖感?

 2011年3月に起きた東日本大震災の3年前、この大震災を予知したかのような大作「予兆」を描いた池田学さん。見る人の受け取り方によっては、楽しい絵でも不快にさせることもあると思い込み、スランプに陥った時期があった。

 そんな11年に描いた「痕跡」は、波のさざめく海原のみを精緻に描写している。波涛(はとう)はすべて白抜きで、着色はしていない。青の箇所は線の濃淡だけで深さを表現している。

 画面をよく見ると、デフォルメされた日本地図のような形が隠されていることに気付く。池田さんは東日本大震災の一報を海外のテレビで見た時、帰るべき日本がなくなってしまったのではと感じたという。影のような“日本地図”には、日本沈没への恐怖感を織り込んでいるのかもしれない。

 池田さんは新作「誕生」で海を描いており、波を表現することの面白さを再認識している。次回作について「具体的な構図は決めていないが、波とか雲をもっと大きく描いてみたい」と語っている。=おわり

 池田学展は県立美術館で20日まで。一般1200円、高校生以下は無料。開館時間は午前9時半から午後7時まで。

このエントリーをはてなブックマークに追加