オプティムが開発したシステムの画面。空撮した画像データやブイから送られてきた海況データを基に病害などを自動解析して検知する(同社提供)

■県沖の有明海を空から監視

 日本一の生産量・販売額を誇る佐賀県沖の有明海のノリ養殖に、人工知能(AI)など先端技術を生かす産官学連携プロジェクトが始動した。小型無人機「ドローン」から送られてくる養殖場の画像や測定データをAIで解析。ピンポイントで病害や赤潮の発生を漁業者に知らせ、早期の対策で収量や品質向上につなげる。

 プロジェクトに乗り出したのは、佐賀県有明海漁協、県、佐賀大学、ソフトウエア開発の「オプティム」(本店・佐賀市)など6団体。同大学で15日、連携協定を締結した。

 県産ノリは佐賀海苔(のり)として高いブランド力を誇るが、近年は海況が不安定で、赤潮による色落ち被害やアカグサレ病に悩まされている。生産者は1区画54メートル×36メートルの漁場を平均して10~30区画、点在する形で割り当てられており、ドローンで空から監視することで、作業の優先度を決めて被害を軽減できるという。

 観察にはヘリコプター型より航続距離が長い固定翼型のドローンを採用。今回協定を結んだ「NTTドコモ」のセルラー通信技術で長時間・リアルタイムのデータ送信が可能で、4台による1日4回飛行で有明海全体をカバーできる。

 海上にも、海水温や比重を観測して送信する機能を搭載した同社開発のブイを浮かべる。

 集積したデータは、オプティムが開発したAI「フィッシャリーマネージャー」が自動解析する。ノリの色や海水温などを総合的に判断。アカグサレ病や色落ちを検出してアラート表示する。将来的には漁協や各生産者への通知サービスも検討する。

 来季の漁期に入る今年10月までに観測や分析の精度をさらに向上させる考え。同漁協の徳永重昭組合長は「ノリ養殖は常に病害との闘いになる。プロジェクトは、一斉に養殖を始め、栽培管理を統一してきた佐賀独自の集団管理方式とも相性が良く、収量や品質アップにつながるのではないか」と期待を寄せる。

 オプティムは2015年から佐賀大学農学部、県とICT農業推進でも連携している。同社の菅谷俊二社長は「佐賀の皆さんと力を合わせて取り組めることはありがたく心強い。よりおいしく、安心して食べられるノリ作りに貢献できれば」と話している。

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