日銀は10日、7月の地域経済報告(さくらリポート)を発表し、全国9地域のうち北海道、関東甲信越、近畿、中国、九州・沖縄の5地域で景気判断を引き上げた。世界経済の回復や円安基調で生産が拡大し、個人消費が堅調なことが理由。他の4地域は据え置いた。

 5地域で景気判断を引き上げたのは2014年1月以来、3年半ぶり。また、6地域の景気判断で「拡大」という表現を盛り込んだ。さくらリポートを始めた05年4月以来、「拡大」を6地域以上で用いたのは初めて。

 生産は、スマートフォンや自動車向けの電子部品や生産用機械が伸びた。個人消費では「燃費や安全性の向上を図った新型車が好調だった」(関東甲信越の自動車販売)という。

 一方、雇用では「既存従業員をつなぎ留めるためにボーナスを増額した」(東海の運輸)、「担い手を確保できない」(北海道の小売り)といった人手不足の影響を指摘する声が目立った。

 物価は、節約志向が根強く、販売価格への転嫁は難しいとの意見が聞かれた。先行きについては海外経済の不透明感を懸念する企業が多かった。

 個別項目では、堅調な輸出を背景に、北海道、北陸、関東甲信越、近畿、中国の5地域で生産の判断を引き上げた。個人消費は、関東甲信越、近畿、中国、九州・沖縄の4地域で上方修正した。

 これまで高い伸びを示していた住宅投資は、東北、北陸、関東甲信越、東海の4地域で引き下げた。貸家の供給過剰への懸念が強まっているためだという。【共同】

■九州・沖縄「緩やかに拡大」 

 10日の日銀支店長会議で、松本順丈福岡支店長は九州・沖縄の景気を「緩やかに拡大している」と報告し、4月の前回判断から上方修正した。個人消費や設備投資、公共投資といった項目をそれぞれ引き上げた。ただ、昨年4月の熊本地震の影響が残る地域もあり、地域や業種でばらつきがみられるとも指摘した。

 7月5日からの九州北部豪雨では福岡県や大分県の交通インフラなどに被害が出たが、今回の判断には織り込んでいない。今後の景気を下押しする可能性がある。

 個人消費は「全体として回復している」と引き上げた。熊本地震の影響で落ち込んだ観光が持ち直し、外国人観光客を中心に百貨店での高級品や化粧品が堅調に推移した。被災地の買い替え需要もあり、自動車販売も好調だった。スーパーは飲食料品が弱めでコンビニも売り上げ拡大の勢いが緩やかになっている。

 この他、企業収益が改善している設備投資や発注が増えた公共投資などの判断も引き上げた。

 強い海外需要を背景に、生産と輸出は「高水準で推移している」といずれも据え置いた。【共同】

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