シェアオフィス「東小金井事業創造センター KO―TO(コート)」内で仕事をするタウンキッチンの社員ら=東京都小金井市

 複数の企業や住人が共有するシェアスペースを活用した動きが郊外地域で出ている。企業のコスト抑制と社員の職住接近がメリットで、東京西部の多摩地区では起業や介護サービスなどに利用されている。高齢化や空き家の課題を抱える地域の活性化にも期待される。

 ▽オフィス

 JRの東小金井駅に近い高架下のシェアオフィス「東小金井事業創造センター KO-TO(コート)」には、約50の事務所が入る。

 小金井市が2014年、高齢化が進む中、事業創出や地域の活性化を目的に設置。利用者は30~40代が中心で建築、介護関連、デザイナーなど業種はさまざまだ。

 コート内でシェアオフィス全体の運営と個別の創業相談に対応しているタウンキッチンの北池智一郎社長は「家族世帯は子育てや経済事情で郊外に住むことが多く、自宅の近くで仕事をしたい人が増えている」と話す。

 17年3月には武蔵野市にシェアキッチン「8K(ハチケー)」を開設、調理場を曜日や時間で分けて使うことで主婦らの開業を支援する。北池社長は「一定の人口のある地区で、飲食や物販もビジネスとして成立する」と指摘する。

 飲食店の開業は初期投資が負担になるが、月約3万円といった割安の施設利用料を設定。小平市の同様の施設では複数の人がパン製造などで使用している。利用者の中には独立して自宅近くに店を持つ人も出てきた。

 ▽「たすけあい」

 コートのシェアオフィスに事務所を設けるNPO法人「アップツリー」は、「地域たすけあい事業」を展開している。40~70代までの近隣の女性約15人がサポーターとして登録、近所の高齢者らの家事を有償で援助し、買い物代行や病院の付き添いなどをしている。

 阿久津美栄子代表は「子どもが23区内にいても頼りたくない利用者が多い。支援する側も、老後が不安で近所で助け合えたらという思いがある」と話す。

 このほか認知症の人や介護者、家族が定期的に集える「カフェ」も提供、自由に歓談できる場として利用されている。

 阿久津代表は「皆が都合の良い時間に集まり、情報交換できる場所として重要だ」と指摘した。

 【シェアスペース】オフィスやキッチンなど他の企業や人と共有して使う場所。複数利用のためコスト低下が見込まれる。

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