舞台あいさつ後にサイン会で観客と交流する片渕監督=佐賀市松原のシアターシエマ

◆「リアリティー追求」

 2016年の「キネマ旬報ベストテン」で邦画1位に選ばれたアニメーション映画「この世界の片隅に」の片渕須直監督(56)が15日、佐賀市のシアターシエマを訪れ、舞台あいさつした。片渕監督は「片隅にあるいろいろなものが集まって世界をつくっている。調べて、細部を描き込んだ」と語り、当時の暮らしや街の様子を丹念に調べ、リアリティーを追求した制作過程を振り返った。

 こうの史代さんの同名漫画が原作。第2次世界大戦時の広島県呉市に、18歳で嫁いだ主人公すずを中心に戦時の暮らしを描いている。片渕監督の父親豊さん(83)は杵島郡白石町出身。佐賀大卒のプロデューサー松尾亮一郎さん(43)も舞台あいさつした。

 映画では、平和記念公園となっている広島市の街を史料や写真を基に再現した。片渕監督は「写真にない店が1軒だけあった。当時を知る女性に話を聞き、描いた絵を見てもらって確認した」と制作の一端を明かした。時代考証しながら細部を描いたことで、「(戦時を生きた)すずさんという人がすぐ隣にいる、身近に感じられる。アニメと実写の区別を乗り越えられた」と話した。

 舞台あいさつには約90人が参加した。佐賀市の女性(72)は「戦争の記憶はほとんどないが、自分の母はすずさんのような生活をしていたのかなと想像しました」と話した。

 全国63館で封切りし、口コミなどで評判となり、現在は約200館に拡大。県内で唯一上映しているシエマでは約2000人が鑑賞、過去最高の動員となっており、上映期間を2月17日まで延長した。

 19日付の芸能面で詳報します。

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