現在の唐津市役所本庁舎。手前の駐車場側に、合併特例債を活用した建て替え計画が進んでいる=唐津第一ホテルから撮影

■新庁舎建設急ピッチ

 築55年を迎える唐津市役所の本庁舎。当時、タイル張りの「デラックス庁舎」と評された影はなく、今ではコンクリートの亀裂や鉄筋の腐食などが散見される。昨年から現地建て替えの計画が急ピッチで進む。

 「基本計画が1月にできて、それから設計業者の選定まで2カ月しかない。大丈夫なのか」。昨年11月、市民もメンバーに加わる建設委員会の会合で建築の専門家が工程表を見て懸念を指摘した。業者に提案書の提出を求め設計者を選定するプロポーザル方式。意味ありげに笑みを浮かべ「水面下で動いているのかもしれないですけど…」とも。特定業者との出来レースを想起させるほど無理なスケジュールに見えていた。

 「非常にタイトなのは認識している。2020年度完成を見込んでいるので」と事務局の市職員は急ぐ理由を重ねた。

 20年度は合併特例債を活用できる最終年度。70億円程度かかる本庁舎の建設費は、市の実質負担が24億円弱に抑えられる有利な財源だ。特例債は建設事業に使える優遇制度で、唐津市は小中学校の耐震化や道路など合併後の基盤整備を優先させ、市庁舎は後回しにしていた。

 人口などから算出された合併特例債の借り入れ限度は合併後10年間で約579億円。負担が少ないとはいえ、借金が増えることに変わりはない。将来の財政圧迫を避けるとともに、集中投資でも実施が見込める量を考慮して、当初は8割に抑えていた。

 その後の法改正で活用する期間が5年間延長されると、市は満額活用に方針転換。予算規模は他の要因もあるものの、数年前に比べて100億円前後膨らみ、本年度一般会計当初予算は約692億円に上る。

 財政計画では特例期間最終年度(20年度)の投資的経費は88億円で、このうち特例債を約40億円充てる。翌21年度にその分がそっくりなくなるわけではないが、ある程度の落ち込みは避けられそうにない。

 市財政課の草野陽課長(49)は「あまり落とすと市中の経済状況に影響する。ソフトランディング(軟着陸)が私たちの使命」と言い切る。特例債に替わる財源を活用するなどして下支えするつもりだが、高齢化に伴う福祉関連経費の増加などもあり、やりくりは厳しさを増す。

 さらに、旧1市6町2村から引き継いだ公共施設が類似自治体との比較で1・85倍と多く、更新や改修費がさらなる将来負担でのしかかる。公共施設の縮減も待ったなしの状態だ。

 ラスト4年の合併特例期間は、同時に「ポスト特例債」への大事な助走期間でもある。現庁舎では近年、市民の信頼を失うような不祥事も続いた。市庁舎建設同様に、市政刷新も喫緊の課題。次期市長の行動を市民は見ている。=おわり

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