INTERVIEW―発達障害の子どもと向き合う2

Bさん

長男(10歳)自閉症スペクトラム・知的障害なし

長女(7歳)自閉症スペクトラム・知的障害なし

●現実から目を背けないで 少数派なりの子育てを

 絵本をじっと見ることができなかったり、癇癪がひどかったり、ほしいものが買えなかったらひっくり返って泣いたりと、「なんか違うよね?」という思いはあったんです。引っ越しをしたら新しい家に入ることができない、保育園の制服も着ることができない。長男が3歳児検診でひっかかったときは、それまで自分でも思っていた「発達に問題がある」ということを客観的に告げられた感じでした。長女に関しては、3歳児検診でも分からないくらいだったのですが、遺伝性が強いことは知っていたし、癇癪がひどかったので、自分を安心させるためにと思って検査をしました。診断を受けてもまだ信じられない気持ちがありましたね。

 長男と長女は全く違います。小さい頃は多動で不安も強く、収拾がつかなかった長男ですが、療育の成果か、今ではほとんどのことは自分でできるし、とても楽観的。良くも悪くも我が道を行くタイプで「オレは自閉症だからね」と、自閉症であることを自慢するかのように言ったり。確かに他に比べれば社会性は低いけれど、自分のことを自分で分かってきたのかなと思います。逆に長女は今とても大変。頭は良いので勉強は問題がないのですが、年齢が上がってくるにつれて、女の子特有の複雑なやり取りに対応できずにストレスがたまり、癇癪が増えてきました。眉毛やまつげを全部自分で抜いたり、癇癪を起こした自分が腹立たしいのか自分をたたいたり、壁にぶつかったりといった自傷行為もあります。

 そんな2人を抱えた子育ては大変です。じんま疹が出たり、うつっぽくなったり。同じ自閉症の子どもがいるお母さんたちはみんなそうです。でも乗り越えなきゃいけないんですよね。私は身内や友人の理解があったので助けられました。医療従事者が多かったので、障害への抵抗も少なかったのかもしれません。職場の同僚も、なぐさめの言葉をかけるのではなく具体的なアドバイスをくれました。周囲の理解って大事ですね。

 ただ、保育園ではとても悔しい思いをしました。「障害児保育」を掲げている園だったにも関わらず、多動な長男は「うちでは手に負えません」といわれて放置状態。「入園時までに診断がついている子に限ります」とまでいわれ、歯がゆい思いをしましたね。小学校は、入学前に自己告知をし、2人とも支援学級に通っています。普通学級でも大丈夫かなと思ったのですが、「休憩」できる場所を作ってあげたくて。通常学級に入って、後から支援学級を利用するのはハードルが高いと思うんです。長女の友人に、3年生になって診断がついた子がいるのですが、自分でも他の子との違いには気付いているけれど、既に支援学級に対してのマイナスイメージがついているから、そこに助けを求めることができないでいるんです。小さいうちからの自己告知と自己認知の大切さを感じましたね。自閉症にしても、支援学級にしても、正しい情報を早くから入れておくことは、子どもの自己肯定に欠かせないと思います。

 「自閉症」という診断をつけるかつけないかは親の価値観次第です。現実から目を背けたい気持ちも分かるけど、親には一度焦点を当てる義務があると思うんです。よく「個性」といういい方をするけれど、そういえるのはちゃんと向き合った人だけ。一度も焦点を当てないまま「個性」というのはただの逃げではないでしょうか。

 少数派といわれる脳のタイプなのだから、多数派の脳に合わせた子育てをしていても苦しいだけ。切り替えて、子育てを変えたら楽になるはずです。多数派に合わせたら発揮できない力も、やり方次第で発揮できるかもしれない。私たちの世代でも、「ちょっと変わってるけど愛される人」っていましたよね。うちの子たちも、そんな風になればいいかなって。とにかく元気で、生きていく強さがあれば。人生を楽しいと思ってくれたらそれでいい。結婚して孫ができて…世のお母さんたちが思い描くような未来は、今は考えていません。自分で稼いで生活をし、好きなように生きてほしいですね。

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