■INTERVIEW―発達障害の子どもと向き合う1

Aさん

長男(22歳)自閉症スペクトラム・知的障害なし

次男(19歳)自閉症スペクトラム・知的障害あり

●子どもには子どもの人生がある 受け入れて尊重

 はじめて「あれ…?」と思ったのは、長男が3歳になる前のこと。もう日も暮れたのに思うがままに遊び続ける息子を見た近所の人に「息子さんはお母さんの言うことを理解しているんですか」と言われたのがきっかけでした。その後「広汎性発達障害」(現在の自閉症スペクトラム、以下自閉症)と診断を受けました。それまで自閉症についての知識が全くなかったのですが、勉強してどんな障害なのかを知りました。「この子は私が話すことはわからないんだ」と分かった瞬間が一番つらかったですね。次男は、まだハイハイもしないくらいのとき、夫が「目が合わない、名前を呼んでも反応しない」ことに気付いて―。

 2人とも音声言語はほとんど理解できなくて、長男は話せますが、次男はほとんど話すことができません。気持ち、行動の切り替えができないので、一度遊びだしたら泣きわめいてでも続けようとする。大人同士の会話をケンカしていると誤解して怖がる。そんな状態なので、人を避けて家にこもっていましたし、できるだけ会話もしないようにしていました。子どもと自分だけの世界というのは孤独で大変でしたね。ただ、私の場合は実家が近かったので、両親にはたくさん助けてもらいました。息抜きは絶対必要。自分自身の人生も楽しまなくてはいけないと思って、両親に預けて出かけたりもしていました。また、同じ自閉症の子どもを持つお母さんたちに話を聞いてもらったり、聞いたり。同じ境遇で共感できる人がいると安心できたんです。

 長男は小学校入学時は普通学級に通っていたのですが、次男の入学に合わせ、4年生からはともに支援学級に。中学は、長男は支援学級に行ったものの3年生から不登校に。次男は支援学校に行きましたが、高等部から不登校になりました。先生たちも一生懸命ではあるのですが、やはりすべてを理解するのは難しいのでしょう。母親の私でさえ、子どもたちのことを理解するのに苦労したのだから、他人にそれと同じような理解は到底求められない。だから対応に不満があっても、一生続くわけではないのだからと切り替えました。ママ友に関しても同じですね。両親や理解してくれる人には頼るけど、それ以外には求めすぎず、割り切った付き合いをする。そうやって乗り越えてきました。

 自閉症の子ども2人を育ててきて、今、思うのは、「普通とは違う」という覚悟が必要だということ。いつか普通になるんじゃないかという希望は捨てた方がいいでしょう。だからといってそれをマイナスに捉えずに受け入れ、尊重することが大事。私は、子どもたちが「自分はやれるんだ」と自信が持てるように、対等に、客観的に接してきました。「こんにちは」「ありがとう」「すみません」。他人行儀に感じるかもしれないけれど、家の中でも外の社会と同じような言葉遣いで接し、外と家とを分けることが難しい子どもたちが、家の中で自然と社会の構図が学べるようにしました。日々のスケジュールをきちんと示すことで、パニックを防ぐと同時に、変更やキャンセルに対応できるようにしました。

 現在、長男は就労訓練を経て障害者枠で就職、1日6時間働いています。次男も就労訓練中です。仕事をするようになってから長男は変わりましたね。1人でできることが増えました。例えば、料理を1人で作れるようになったり、掃除や洗濯がきっちりできるようになったり。私の誕生日には、自分のお小遣いからプレゼントを買ってくれました。できることが増えるとうれしいですね。「できない」と思うこと自体が子どもに失礼だと思うんです。だから私は、子どもたちを信じるようにしています。彼らは私の所有物ではない。彼らには彼らの人生がある。だから、いつか私たちが先にいなくなってしまうけれど、兄弟2人で前向きに、自分たちなりの幸せな人生を歩んでほしい。そう思っています。

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