エミュー肉のたたきなどを提供している食堂「一福」の西依裕子さん。「脂肪分が少なく、ヘルシー」と話す=基山町

 柵に囲われた棚田で、2メートル近い体長の鳥が悠然と歩いている。佐賀県東部にある三養基郡基山町の中山間地。ここでは、オーストラリア原産の「エミュー」が新たな食材として飼育されている。

 農家の吉田猛さん(63)が業者の依頼で2014年から飼い始めた。雑草を食べたり踏みならしたりするため、田畑の荒れを防ぐ役割を見込んだ。

 高齢化や農地集約の難しさから、耕作放棄地が増えていた。こうした土地をエミューの飼育場に活用する動きにつながり、15年に農業法人「きやまファーム」が発足。6次産業化を目指し、町も支援に乗り出した。

 タタキや刺身、串揚げ、ユッケ-。町ではエミュー料理の試作が進む。16年のコンテストで優勝した食堂「一福」店主の西依裕子さん(55)は「エミューの肉は赤身で脂身が少ない。高タンパク、低カロリーでヘルシーですよ」と特長を話す。

 この冬、飼育場のエミューが初めて産卵した。これまでの商品開発用の肉は北海道の農場から買い付け、輸送コストがかさんでいた。今後は価格を抑えた基山産が見込める。

 現在の飼育数は130羽。きやまファームの鳥飼善治社長(59)は期待を込める。「2020年の東京五輪までにブランドとして確立させたい」。飛べない鳥が町を飛躍させようとしている。

■メモ エミュー料理は基山町内の4店が予約制で提供しており、町がウェブサイトで紹介している。九州自動車道の基山パーキングエリアの物産所ではキーマカレーやハムも販売している。問い合わせは基山町産業振興課、電話0942(92)7945へ。

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