コンテナが幾重にも積み上がる大連港の貨物ターミナル。近年、中国東北部の物流拠点として急成長を遂げ、今も伸び続ける=中国・遼寧省大連市の大連港新港区

■「人の和」商機に生かせ

 40基を数える大型ガントリークレーンは対岸にまで連なり、もやにかすむ。中国東北部の物流拠点として急成長を遂げた大連港新港区。うずたかく積み上げられたコンテナがひしめく港は、年間取扱量945万TEU(1TEUは20フィートコンテナ1個換算)と、世界15位の規模を誇る。2003年には伊万里港への定期航路も就航している。

 その伊万里港は16年度、貨物取扱量が過去最大の3万4318TEU(空コンテナ含まず)を記録した。大連に生活雑貨販売大手のアイリスオーヤマ(本社・宮城県仙台市)の現地法人があり、「大連・青島航路からの輸入が大きく押し上げた」と伊万里市の担当課。港を通じた大連との結びつきは既に、実利を伴うものになっている。

■輸出増大

 九州第4位の貨物取扱量を誇るが、大幅な輸入超過が長年の課題。輸出の荷主への助成制度などの効果で徐々に増えているが、16年度も輸入が輸出の3倍以上と、依然として大きな開きがある。入ってきたコンテナの復路を有効活用する観点でも、輸出増大は悲願となっている。

 大連からの貨物取扱量の増加をてこに、輸出増を探る動きもある。販売先や現地でのパートナーの確保は難しく、一朝一夕には容易ではないが、両市が積み上げてきた30年の財産が生きる可能性がある。

 農業や焼き物、スポーツの民間交流に加え、1991年から現在まで18人が大連市から伊万里市役所に公務研修生として派遣された。かつての研修生には、市や港湾関係で最前線に立つ人材や幹部級も顔をそろえる。元研修生の劉国強市科学技術協会副主席(55)は、99年に伊万里港の利用を呼び掛けるセールスに携わった思い出を振り返り、「伊万里が持つ可能性を肌で感じることができた。今の大連にとっても重要なパートナーになり得る」と話す。

■節目重なる

 大連市側も市を挙げた成長戦略として伊万里市とのビジネスチャンスを模索する。市民訪問団を出迎えた大連市の廬林副市長は式典で「集積回路や海洋科学、自動車産業、近代的な農業、どれもわが市と補完関係にある」と分野を列挙して連携を呼び掛けた。

 くしくも今年は伊万里港開港50周年とも節目が重なり、天の時、地の利、人の和がそろう。昨年度から冷蔵・冷凍機能のあるリーファーコンテナの助成も手厚くなり、農産物も有力な輸出品目として検討・研究が進む。成長を続ける巨大港湾都市の活力を取り込むことが、伊万里市浮揚の鍵を握ることは疑いない。

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 伊万里市と中国・大連市が友好交流都市となって30年を迎え、5月下旬に塚部芳和市長を団長とする市民訪問団59人を派遣した。随行取材から見えてきた伊万里市の課題を報告する。

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