東京五輪の特需のつかみ方について助言する「インクグロウ」地域活性推進部統括マネジャーの田中洋平氏=佐賀市のマリトピア

■東京五輪地方にも商機

 150兆円と推計されている2020年東京五輪・パラリンピックの経済効果を考えるセミナー(佐賀銀行主催)が、佐賀市のマリトピアで開かれた。経営コンサルタント「インクグロウ」(東京)の地域活性推進部統括マネジャーで金融機関ソリューション室長を務める田中洋平氏が「(地方にも)大きなビジネスチャンスになる」と訴え、中小企業が特需をつかむためのノウハウを助言した。講演要旨を紹介する。

■ネット駆使、まず情報収集

 今回の東京五輪・パラリンピックは、高度成長期だった1964年の東京五輪ほどではないが、大きなビジネスチャンスになる。経済波及効果は150兆円で、50万人以上の雇用創出を見込む試算もある。

 五輪は新たな商品、サービスをPRする絶好の機会だ。警備保障、ユニットバス、ポリバケツ、セントラルキッチン…。いずれも1964年の東京五輪で導入され、全国で普及して企業に成長をもたらした。

 2012年のロンドン五輪から、地方都市の中小企業に五輪関連の仕事を請け負ってもらう動きが顕著になった。ロンドン以外に拠点を持つ零細企業が特設のウェブサイトを通じて選手に渡す花束、点数表示板、印刷物などを受注した。

 セキュリティーが厳しく選手村に入るのに時間がかかるため、早朝に納品を求められる大変さがあったようだ。ただ、五輪の仕事を請け負うことに社員がやりがいを感じ、取引先からの信頼性も高まったと聞く。

 東京五輪に向け、中小企業の仕事受注を後押しする特設サイト「ビジネスチャンスナビ2020」が昨年4月に立ち上がった。国や東京都、大手企業が発注した仕事が掲載され、中小企業がエントリーする仕組みになっている。情報収集はもちろん、商談成約に結びつくよう独自技術をアピールしてほしい。

 日本食の需要も見込まれる。欧米で人気を呼んでいるだけに、大会開催中に飲食店の売り上げは上がるだろう。これに関連し、思わぬ売れ行きをみせているのが包丁だ。京都の専門店が海外の客でひしめく現象が起きている。職人技術を駆使した製法、使い方、手入れの仕方を伝えるのが大事だ。佐賀県内の企業も英語のパンフレットやホームページをつくるなど準備を進めてほしい。

 まずは五輪に関するスケジュールを把握してほしい。聖火リレーのコース、出場国のキャンプ地…。情報を集めればどんな需要が出てくるか予測が立てやすくなる。例えば、大会マスコットが決まれば土産品開発に着手できる。伝統工芸、アパレル産業にとって大きな商機だ。

 キャンプ地が決まった都市には五輪開催前後の宿泊客が見込める。ホテルや旅館はもちろん、通訳派遣、ハラール食などのビジネスチャンスが出てくるはずだ。

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