■国「制裁金返還要求も」 

 国営諫早湾干拓事業の開門を命じた確定判決の勝訴原告である漁業者らに制裁金などの強制執行をしないよう国が求めた訴訟で、福岡高裁(大工強裁判長)は18日、和解協議を打ち切った。国側は訴訟で勝訴した場合は既に支払った制裁金に関し「返還を求めることもあり得る」と言及した。

 和解協議と同時に行っていた開門差し止め仮処分関連の審理は、本訴訟で4月17日に開門差し止めを認める長崎地裁判決が出たものの、確定していないため継続になった。次回の7月13日も国と漁業者ら開門派、長崎県の営農者ら開門阻止派の三者が同じテーブルで協議する。長崎地裁判決に絡み、漁業者側が申し立てた「独立当事者参加」の可否は同高裁で検討することも示された。

 非公開の和解協議は昨年1月から計9回行い、この日も開門の是非を巡って三者が折り合わず、高裁は「(三者とも)和解を望んでいるが、方向性に大きな隔たりがある」と判断した。国は開門請求権を裏付ける漁業者の漁業権が消滅したことなどを根拠に強制執行が許されないと主張する書面を提出した。

 終了後、農水省の横井績農地資源課長は開門によらず有明海再生の基金事業での解決を目指す方針を改めて示し「(漁業者側は)納得していない実情はあるが、今後審理していく中で和解を見いだしていきたい」と述べた。漁業者側弁護団は「国の脅しや切り崩しは許されず、徹底して争う」と反発した。国はこれまで8億1990万円の制裁金を支払っている。

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