空前のランニングブームが続いている。市民マラソン開催が本格化したのは1980年代に入ってからだが、日本で最も古いマラソンは、江戸時代の安政年間に安中藩(あんなかはん)(今の群馬県)で行われた「安政遠足(あんせいとおあし)」とされている◆1855(安政2)年、安中藩主板倉勝明が、藩士96人に安中城門から碓氷峠(うすいとうげ)の熊野権現神社まで走らせた徒競走だった。30キロほどの距離だが、標高差が千メートル以上もあり、3~5時間ほどで完走。ゴールした者にはお神酒や干しダラ、力餅などが振る舞われた(大島幸夫著『市民マラソンの輝き』)◆それが復刻され、1975年から「安政遠足 侍マラソン」が毎年5月に安中市で開かれている。ほとんどが侍姿などの仮装をして走る楽しい大会になっているそうだ。こちらも回を重ねるごとに評価が高まっている。きのうの「さが桜マラソン」は春の陽気の中で行われた◆佐賀市の「どんどんどんの森」付近で待っていると、色とりどりのシャツを着たランナーたちが足どり軽く駆け抜けた。沿道からの「がんばって」の掛け声や、ボランティアのもてなしで、元気を満たしての走りだ◆藩士の鍛錬が目的の「安政遠足」とは違い、もっと自由で緩やかである。桜の開花が早まるのではと感じるほどの、大会を支えた多くの人らの温かさと、ランナーの熱気だった。(章)

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