日中の地方都市・政府のトップが一堂に会して観光PRをした市長円卓会議。右から6人目が塚部芳和伊万里市長=中国・大連市のフラマホテル

 輝く新緑に上品な彩りを加えるアカシアの花をめでる人の波は、途切れることなく続く。大連市最大の祭典「アカシア祭り」の開会式会場。ウオーキング大会は「中日国交樹立45周年記念」と銘打ち、日本の航空会社や旅行代理店の協賛を得て、日本からの団体客を合わせて数千人規模となった。海辺のステージに日本のほか、ロシア、インドネシアなど世界各国の地方自治体の幹部が並ぶ中、盛大な幕開けを飾り、国際観光都市としての大連市を強く印象づけた。

 ■見劣り感

 一方で開会式の翌日、関連行事として行われた旅遊局主催の「観光大連ハイレベルフォーラム」に臨んだ塚部芳和市長は表情を曇らせていた。日中の6都市が交互にわが町の観光をPRする「市長円卓会議」で伊万里市も発表の場が与えられたが、見劣りした感は否めなかった。

 京都府舞鶴市は京都への玄関口として日本海側の府内5市2町の観光組織が連携した誘客事業やクルーズ船の誘致と広域連携の効力を強調。中国・貴州市は映像を効果的に用いて「東のスイス」と呼ばれる景観や気候、三島由紀夫ら日本の知識人の尊敬を集めた王陽明の出身地をアピールするなど、外国人観光客を意識した内容、手法で着実にポイントを挙げた。

 対して伊万里市は口頭のみの発表で、中身も国内向けと大差はない。福岡市との近さや長崎県松浦市・平戸市と観光連携協定を結んだ事実もそれ自体は、土地勘のない旅行客にとってそれほど価値のある情報ではない。連携した結果、どのような素材の組み合わせが可能なのか、具体的な観光ルートを整備して示す必要があった。

 ■伸びしろ

 昨年の伊万里市の外国人観光客宿泊客は1万1879人。中国からは832人と1割にも満たない。人口規模と、大連市との友好交流の実績からすると、決して満足のできる数字とは言えない。だが、逆に伸びしろがあるとも言える。国際観光都市の大連市に学ぶのも選択肢の一つになる。

 塚部市長が大連滞在中にクルーズ船のオーナー夫人と面会し、市旅遊局幹部も直接、伊万里港への乗り入れに前向きな意向を伝えるなど、小さな第一歩は踏み出した。「伊万里を玄関口に、(宿泊施設の多い)唐津や嬉野、武雄に引き込むことも可能」という構想も描く。

 伊万里市が大連市と育んできた30年の絆をまちの活力に変え、佐賀県全体を押し上げる役割が今こそ求められている。

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