脳梗塞の経験を乗り越え出場したファンランで7番目に完走した足立照政さん=佐賀市の県総合運動場陸上競技場

苦難を乗り越えファンランを完走した足立照政さん(中央)。周りは右から妻久美子さん、長女愛さん、長男心さん、次男優さん=佐賀市の県総合運動場

■元県内一周駅伝選手、ファンラン完走

 記録をつけない「さが桜マラソン」のファンラン。和やかな雰囲気で走る出場者の中に、元県内一周駅伝ランナー足立照政さん(47)=佐賀市高木瀬西=の姿があった。1年前に脳梗塞で倒れた経験を乗り越えての復帰ラン。「無理せず、楽しむつもり」で19日、晴れ渡る青空の下、9・8キロを無事走り抜いた。

 足立さんは佐賀広域消防局の指導救命士で、20年ほど前にダイエット目的でランニングを始めた。スポーツ経験はなかったがみるみる上達し、1998年の県内一周駅伝大会に佐賀市チームで出場し新人賞。その後も小城郡や多久市チームで活躍した。

 桜マラソンは2002年の10キロの部で4位。フルマラソンにも2013年から3年連続で出場した。

 そんな足立さんに異変が起きたのは、4年目の大会を目前にした昨年3月14日だった。いつものように佐賀市の県総合運動場でジョギングをこなした後、めまいで真っすぐ歩けなくなった。自宅に帰ろうと自転車に乗ったがまともにこげず、通りがかった人に助けを求め救急車で病院に搬送された。検査の結果は、左小脳の脳梗塞。偶発的に血管の膜が裂けて血流障害が起きる「脳動脈解離」の疑いも指摘された。

 半月ほどで退院し、その後症状は徐々に改善して歩けるようになったが、めまいやふらつきの後遺症は残った。1カ月後、旧知の地元陸上クラブ指導者に「散歩でいいから」と県総合運動場へ誘われ、毎夕ウオーキングで体力回復に努めたが、すぐに走ろうとは考えなかった。

 「やっぱり佐賀の街を走りたい」との思いがわいたのは、秋になり「さが桜マラソン2017」の案内が自宅に届いた時だ。不安もあり、復帰戦はファンランを選んだが、走れること自体が大きな前進だった。

 この日、2年ぶりの桜マラソンは周囲をゆっくり見回しながら走った。目に留まったのは年配のランナー。「あの年代でもまだ走れるんだ」。自分との戦いに集中していた頃は気づかなかった景色に励まされた。

 出場した1706人中7人目にゴール。競技場を出ると、妻久美子さんや長女愛さん(15)ら3人の子どもが、記録も順位もない足立さんにサプライズを用意していた。手書きの表彰状と色紙で作った金メダル。長男心(しん)さん(13)から表彰状を受け取り、次男優(ゆう)さん(11)からメダルをかけられた足立さんは「この子たちが大きくなった時に、一緒にフルマラソンを走れるようになりたいですね」。みるみる緩んだ笑顔の下で、「完走おめでとう」と書かれたメダルがきらりと輝いた。

このエントリーをはてなブックマークに追加