国営諫早湾干拓事業を巡る開門差し止め訴訟の第12回和解協議が17日、長崎地裁(松葉佐隆之裁判長)で開かれ、国は開門しない前提で示した総額100億円の基金案について沿岸4県と各漁業団体の賛否が割れたことを報告しつつ、議論の継続を求めた。漁業者側は「基金案の検討には終止符を打つべき」とする意見書を提出、基金案による和解成立は極めて困難な見通しとなった。裁判所は次回23日に和解協議を継続するかどうかの判断を示す。

 和解協議は非公開。国側は、基金案が実現した場合に運営を担う4県と各漁協・漁連の受け入れの可否について、佐賀県と佐賀県有明海漁協が拒否し、長崎、福岡、熊本の3県と各漁連が賛成したことを報告した。県有明海漁協が「訴訟当事者間の決定は尊重されるべき」と付記した点を挙げ、「漁業者側が合意すれば基金案は成立する。必ずしも実現不能とは思っていない」と述べた。

 開門を求める漁業者側は基金案に対し、従来の延長線上にある基金事業では有明海再生は果たせないと改めて主張した。佐賀県側が受け入れを拒否したことから「(基金を運営する)組織的前提を欠いており実現不可能」と指摘した。

 その上で新たな和解案として、農業被害が出ない万全の対策工事を実行し、2002年の短期開門調査と同じレベルの開門実施と、万が一被害が発生した場合に備え、補償や農業振興を目的とする営農者向けの基金創設を提案した。

 漁業者側の馬奈木昭雄弁護団長は「今回求めた開門であれば、対策工事を徹底すれば農業被害は防げる」と説明した。和解案の提案に触れ「一番合理的な案だと思っている。基金案だけの議論しかしないということがおかしい」と訴えた。

 基金案実現が困難になったことについて農林水産省の佐藤速水農村振興局長は「制約の中でセカンドベストを考えて提案したが残念。できることがあれば知恵を絞りたい」と語った。営農者側の山下俊夫弁護団長は「まだ十分検討の余地があり漁業者側は重く受け止めてほしい」と再考を促し、開門前提の和解協議には「応じることは100パーセントあり得ない」と強調した。

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