市教育委員会が発行した冊子「多久の炭鉱」

■写真や証言で振り返る 

 かつて多久市を支えた基幹産業「炭鉱」について、写真や元炭鉱マンの思い出などを通じて知ってもらおうと市教育委員会は、冊子「多久の炭鉱」を発行した。機械化された採掘現場や日常の炭鉱街など貴重なスナップ写真のほかに、多久駅から採炭地「明治佐賀」へ引き込む線路を記した大正9年当時の地図が掲載され、資料性の高い内容となっている。

 1960年代の閉山で、小中学生時代、多くの同級生と離ればなれになった経験を持つ田原優子市教育長は、巻頭言の中で「閉山によって生活の糧を失い、多久を離れていったのは誠に残念」と心情をつづった。2012年に市郷土資料館であった特別企画展「多久の炭鉱と石炭」に6千人を超える来場者があったことにも触れ、「炭鉱と石炭の時代への関心の高さを感じた」と、今回の刊行の意図を語っている。

 内容は、ほとんどが元炭鉱作業員から寄せられた写真で構成され、石炭の積み出し跡や石炭を破砕する道具「ピック」など現在では見るのが難しい炭鉱に関わる遺構や機器類も紹介。表紙の写真には東多久町に現存するコンクリート製の立て坑を掲載した。

 また、北多久町在住で明治鉱業西杵炭鉱に勤めていた松田哲馬氏が「炭鉱時代あれこれ」との題名で思い出を語っている。「(粉じん病防止のため)防塵(ぼうじん)マスクの使用を奨励していたが、重労働のため息苦しくなり、使用する人はほとんどいなかった」と、坑内での過酷な労働実態を吐露している。

 冊子はA4判モノクロ、55ページ。定価800円(税込み)。多久市物産館「朋来館」や市郷土資料館、各町公民館などで販売。問い合わせは市教育振興課、電話0952(75)8022。

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