日本沿岸部で海水のアルカリ性が弱くなる「海洋酸性化」が進んでいることが、海洋研究開発機構などの分析で17日分かった。中には外洋の10倍以上のペースで酸性化が進行している海域もあった。大気中の二酸化炭素(CO2)濃度の上昇に加え、陸から流入する汚染物質が影響している可能性がある。

 進行すると貝や甲殻類、動物プランクトンなど炭酸カルシウムの殻をつくる生物の生息に悪影響を与える懸念がある。

 日本沿岸の酸性化の詳細な実態が分かったのは初めて。19、20日に東京都内で開かれる海洋酸性化のシンポジウムで発表する。

 研究グループは笹川平和財団海洋政策研究所の委託で、全国沿岸海域の環境省のモニタリングデータを解析。1987年から2009年の間に、酸性度を示す水素イオン指数(pH)がどう変わったかを調べると、約2100カ所の観測点のうちアルカリ性が強まっていたのは87カ所だけで、332カ所で酸性化が進んでいた。

 また水素イオン指数の年間変化を調べると、酸性化が進まなかった場合は数値の変化がゼロなのに対し、全国平均の指数は0・0015減少し、外洋と同程度の酸性化が起きていた。一方、工業港などがある宮城県石巻市や北海道苫小牧市、東京都の東京湾など13カ所の観測点では0・01超の減少がみられ、酸性化のペースが平均をはるかに上回っていた。

 海洋酸性化は大気中のCO2が海水に溶け込む量が増えて起きるが、汚染物質による酸性化のメカニズムには未解明な点が多い。【共同】

=識者談話= 対策に貴重な情報

 ■国際水産資源研究所の小埜恒夫グループ長の話 日本全国の沿岸で海洋酸性化の状況が分かる貴重なデータだ。沿岸海域は汚染物質の流入など陸上の活動の影響を受けやすく、海洋酸性化の進行にもそれが影響していると考えられる。外洋と違って沿岸では海洋汚染を減らすなどさまざまな対策を取ることも可能だ。酸性化の進行が速い海域では優先的に環境監視や対策を進めるなど、政策立案にも役立つだろう。

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