福岡県朝倉市の避難所で東北の郷土料理「はっと汁」の炊き出しを受け取る被災者(左)=10日

 九州北部の豪雨を受け、全国の企業が救援物資を送ったり避難所で炊き出しをしたりするなど支援に動きだした。要介護の被災者を無料で施設に受け入れるなど内容はさまざまで、災害の発生直後に素早く対応した企業も目立つ。東日本大震災や熊本地震などの経験が生きた格好だが、ニーズに合った支援ができるかが課題となりそうだ。

 「多くの企業から救援物資の申し込みがあった。十分な量があるため心苦しいが受け入れを断っている」。豪雨から1週間が過ぎた13日も千人弱が避難する福岡県の担当者は、こう説明した。

■「恩返し」

 九州電力は非常食や毛布を提供。グンゼは肌着1800枚、ユニ・チャームは高齢者用の紙おむつ、食品メーカーのマルタイ(福岡市)はカップ麺計2千食余りをそれぞれ被災地に送り届けた。

 地元のエフコープ生活協同組合は、福岡県朝倉市の避難所で東北の郷土料理「はっと汁」約200食を炊き出しで振る舞った。東日本大震災で被災したみやぎ生活協同組合(仙台市)からの「恩返ししたい」との持ち掛けがきっかけだった。

 熊本地震で被災した生協くまもと(熊本県水俣市)からもスタッフが駆け付け、温かい料理を口にした被災者は表情を明るくし「ほっとする」「おいしい」などと喜ぶ声が上がったという。

■社会インフラ

 企業の支援への動きは早かった。ローソンは被災翌日の6日、朝倉市にペットボトル入りの水約3千本を届けた。9日にはおにぎりと菓子パン約1500個ずつを追加提供した。

 ファミリーマートも6日、朝倉市に水3千本を配送した。担当者は「コンビニは社会のインフラだ。今回も県からの要請ですぐに送った」と話す。サッポロホールディングスも8日、大分県日田市に飲料水を届けた。

■高齢者援護

 コンビニやメーカーなどは複数の県などと災害協定を結び、非常時に商品を融通できる態勢を取っているケースが多い。各企業が社会貢献の意識を高めていることも背景にあるとみられる。

 介護施設を全国展開するウチヤマホールディングス(北九州市)は6日から、要介護認定の65歳以上の被災者を介護施設で受け入れ始めた。約200室を用意し、通常月12万~18万円かかる入居費用が無料になる。担当者は「熊本地震の際も被災者を受け入れた。生活が大変な高齢者を助けたい」と話す。

 九電は蒸し暑い避難生活の改善に役立ててもらおうと、避難所に小型のクーラーを設置。西日本鉄道はボランティア要員としてグループ社員約30人を派遣する構えだ。

 福岡の被災地近くのホテルや旅館も、要介護の高齢者や妊娠中の女性らに宿を無償提供するなど支援内容も多様化している。被災者支援に詳しい明星大の天野徹教授(情報社会学)は「物資もボランティアもミスマッチを防ぐためには、被災地からのきめ細かい要望と支援内容をきちんと合致させる仕組みをつくる必要がある」と強調した。【共同】

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