時を駆けるよ-と歌い出すサザンオールスターズの曲「東京VICTORY」。東京五輪・パラリンピック招致が決まり、2020年に向けて沸き立つ気分にぴったりだった。この曲を収録したアルバム「葡萄(ぶどう)」のジャケットは、右肩をあらわにした和服女性の後ろ姿が描かれている◆モチーフになったのは、佐賀市出身の洋画家岡田三郎助が1927(昭和2)年に描いた「あやめの衣」である。サザンの桑田佳祐さんが、収蔵する箱根のポーラ美術館で見て「非常に雷に打たれたように衝撃を受けまして、『葡萄』のジャケットはその絵のオマージュという部分もあります」とインタビューで明かしていた◆岡田が描く女性は優美な雰囲気が漂い、きめ細かな肌あいまで伝わってくるようだ。「色が見えすぎて、その取捨に困る」と、岡田は打ち明けているが、その繊細な色彩感覚から“色彩の画家”とも呼ばれた◆その岡田が明治時代に建てたアトリエが、東京・恵比寿から佐賀市の佐賀県立博物館の隣へ移されるという。岡田が夫人と写っている写真と見比べると、部屋の中央に置いただるまストーブまで、当時のまま残っている◆「東京-」で桑田さんはマイホームタウン(ふるさと)を「麗し」と歌い上げる。色彩の画家のアトリエが、ふるさとへ。佐賀は、さらに麗しくなる。(史)

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