玄海原発3、4号機の原子炉設置変更許可を副島良彦副知事(右)に報告する九州電力の山元春義取締役=佐賀県庁

玄海原発3、4号機の審査書決定を受け、街頭で抗議行動する反原発の市民団体=佐賀市中央本町

 九州電力玄海原発3、4号機(東松浦郡玄海町)の再稼働問題は、佐賀県側に議論の舞台が移った。原子力規制委員会は18日、審査書の「合格」を決定した。県内の自治体や地元経済界は安全確保を大前提に、国や九電に対して説明責任を求め、反対する市民団体は抗議の拳を振り上げた。世論を二分する国策の大きな節目は、原発との向き合い方を改めて問い掛けた。

 九州電力の山元春義取締役は午後4時半、佐賀県庁を訪れ、神妙な面持ちで3、4号機の原子炉設置変更が許可されたことを伝えた。山口祥義知事は「信用できるのかが大きな問題。最大の関心事は事業者の向き合い方で、意を尽くしてほしい」と注文した。

 世耕弘成経産相から、さっそく電話で再稼働への協力を求められた知事は「県民の安全が何より大切」と真っ先に伝えたという。エネルギー政策や原子力災害時の国の責任、地元の意見に真剣に向き合うことも求めた。判断時期は「委員会や専門部会で意見を聴いているし、県議会の議論もある。そうした中で決まってくる」と明言を避けた。

 「やっと決めていただいたとほっとしている」。立地する玄海町の岸本英雄町長は率直な気持ちを語り、世耕経産相から訪問する意向を伝えられ「速やかに地元の理解を得るよう努力したい」と前のめりだ。

 隣接する唐津市の坂井俊之市長は、県に申し入れた「市民の意見を十分考慮する」とする内容に沿って対応するようコメント。半径30キロ圏内にあり再稼働に反対する伊万里市の塚部芳和市長は「事故が発生しない保証はない。周辺自治体を蚊帳の外にしないよう配慮を」とくぎを刺した。

 地元経済界は「合格」を歓迎する。再稼働を求める唐津商工会議所の宮島清一会頭は「しばらくは原発は必要で今後は粛々と進むよう期待している」と語り、唐津上場商工会の古賀和裕会長も「電気代は企業努力では抑えられず、値下げに向かうことは大きい」と地元の事業者を代弁した。

 一方、再稼働に反対する市民団体は各地で怒りの声を上げた。玄海原発前では約10人がのぼりを掲げて抗議。唐津市の北川浩一さんは「業者を規制する組織なのに福島の反省があるのか」と審査を批判した。

 佐賀市では約40人が「再稼働の強行は許されない」と訴えた。玄海原発プルサーマルと全基をみんなで止める裁判の会の石丸初美代表は「知事は住民の不安を受け止め、ノーを突きつけてほしい」と強調した。

 1万人を超える原告団で操業差し止めを求める裁判の東島浩幸弁護団幹事長は「熊本地震で原発に対する市民の不安は高まっている。深刻な人権侵害を引き起こす原発を再稼働させるべきではない」と語気を強めた。

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