事業者によるマッサージなどの療養費の不正受給について、書類を示して証言する元社員の男性(画像の一部を加工しています)

 全国で約9億5千万円の不正受給が明らかになったマッサージなどの療養費。悪質な事業者は行政のチェックが緩いことを巧みに突き、荒稼ぎしている。過大請求がばれないよう専用のコンピューターソフトを使用、書類の日付も改ざん-。首都圏でマッサージやはり・きゅうを手がける会社に勤めていた元社員の男性が、共同通信の取材に具体的な手口を明らかにした。【共同】

■元社員が手口証言「医療費と高齢者食い物」

 男性によると、この会社は約30人の施術師を抱え、協力関係にある別の会社が経営する数十カ所の有料老人ホームから患者を紹介してもらっていた。過去には見返りに1人当たり1万円の商品券をホーム側に提供したことも。計500~600人の患者がおり、多くの患者が週3回程度、訪問施術を受けていた。

 1人の施術師が1回の訪問で複数の患者を治療しても、出張料(往療料)は本来1人分しか受け取れない。しかし同社では複数の患者分を請求。請求先が偏れば不正が発覚する恐れがあると考え、専用ソフトを使い、後期高齢者医療制度を運営する都道府県単位の広域連合に1人分ずつ割り振っていた。

 例えば、ある老人ホームで3県から入居している計9人に施術した場合、ソフトで各県から自動的に1人を選び、それぞれが加入する広域連合に出張料を請求。計3人分を受け取る仕組みだ。

 広域連合間で突き合わせる仕組みはなく、月に200万~600万円の出張料を不正に受給。男性は過去約5年間で約2億円と推計する。

 このほか、施術に健康保険を適用するには医師の同意が必要だが、同意書の有効期限が切れた後、再同意を得るまでの空白期間に行った施術についても、書類の日付を有効期間内にずらして療養費を請求。この手口でも月に数十万円から100万円を不正に得ていた。

■行政チェック甘く荒稼ぎ

 この事例は今回の厚生労働省の調査結果には含まれていない。男性は「医療費と高齢者を食い物にする卑劣な行為だが、チェックの仕組みがなく、やりたい放題になっている」と話した。

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