厚生労働省は18日、健康保険を使ったマッサージやはり・きゅうで、事業者が75歳以上の患者への療養費(治療費)を水増しするなどして不正に受け取ったケースが2008年度以降、36府県で約5万5千件、約9億5千万円に上ると明らかにした。同日開かれた社会保障審議会の検討委員会で報告した。対策を強化する方針。【共同】

 マッサージなどの療養費を巡っては昨年、共同通信の全国調査で不正が表面化。これを受け、厚労省が後期高齢者医療制度(75歳以上対象)の発足時にまでさかのぼって調べた。

 高齢化で患者が増え、出張料を稼ぎやすい訪問施術を狙って参入する事業者が相次いだことが背景にある。厚労省は「不正は(金額、件数とも)請求全体の0・3%」としているが、施術師の全国団体幹部は「発覚しているのは氷山の一角」と指摘している。

 事業者が患者の代わりに療養費を請求することが多く、不正が発覚しにくい構造やチェック態勢の不備も大きな原因で、厚労省は患者が請求内容を確認する仕組みづくりなどを検討している。

 厚労省の調査は、後期高齢者医療制度を運営する47都道府県の広域連合を対象に実施。08年度から昨年11月までの不正請求などをまとめた。

 延べ271事業者が5万4561件で療養費約9億4900万円を不正に受け取り、広域連合は全額返還を求めたが、実際に返されたのは半分程度とみられる。都道府県別の不正受給は、和歌山が約1億6千万円と最多で、大阪が約1億3800万円、神奈川が約1億200万円と続いた。

 佐賀県内では、1業者が14年2月から16年1月にかけて保険請求した487件、約1360万円を不正請求と判断。16年2月に県後期高齢者医療広域連合が全額返還請求の処分を発表、返還されている。

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