「翼よ、あれがパリの灯だ」-。たった独りで大西洋の無着陸横断に成功した米国人飛行家チャールズ・リンドバーグの言葉には、憧れの花の都に達した高揚感が漂う。1927年の快挙からきょうで、90年を迎えた◆小さなプロペラ機「スピリット・オブ・セントルイス」号は、ニューヨークからパリまで約5800キロを、33時間半で飛びきった。無名の飛行家は一夜にして歴史に名を刻んだが、空の旅が命がけだった往事からは隔世の感がある◆70年代からの「空の大量輸送時代」を支えたジャンボジェットは引退し、今や主役は燃費が良い中・小型機に移った。格安航空会社(LCC)の登場で空の旅はぐっと身近になったが、航空各社はパイロットの確保に頭を悩ませているようだ◆それもそのはず。佐賀空港をみても、大手航空会社による東京・羽田便に加えて、LCCが成田を結び、国際線は中国・上海、韓国・ソウル、そして今度は台湾へと路線が延びる。上空からどんな景色が見られるか、楽しみが増す◆佐賀の空はノリの季節がいい。海面を行き交う小舟の航跡がキラキラと輝く。整然と張られたノリ網は、最初のうちは赤や青などカラフルだが、ノリが育つにつれて黒々と色合いを変える。佐賀人が誇り、未来へと引き継ぎたい景色である。「翼よ、あれが宝の海だ」と。(史)

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