60代の女性被告は法廷で淡々と振り返った。「生活に困って、家賃や子どもの学費に使った」。被告は、亡き義父の名をかたり、老齢年金約177万円を不正に受給したとして、有印私文書偽造・同行使罪や詐欺罪に問われていた。

 夫が1998年に脱サラをして自営業を始めると、赤字がかさんだ。事務職をしていた被告が家計を支えたが、次第に繕えなくなる。すると夫から責められ、追い詰められていく。

 義父の口座を管理していた被告は、義父が生きているように装い、日本年金機構に虚偽の現況届を提出した。犯行に手を染めた後、年金の不正受給のニュースをテレビで見ていた夫と娘の会話が聞こえてきた。「ひどいことするね」。被告はその場にいられなくなり、台所に逃げ込んだ。

 「やってはいけないこと」という自覚はあり、「いつかはばれる」と、おびえながら暮らしてきた日々。身柄を拘束された後、「捕まってよかった」と安堵(あんど)の表情を浮かべたという。(懲役1年2月)

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