普通の市民団体に適用されないのか-。政府が21日に閣議決定し、国会に提出した組織犯罪処罰法改正案は、犯罪を計画段階で処罰する「共謀罪」の新設が柱だ。政府は「一般市民は対象にならない」と明言するが、野党や日弁連は「捜査機関による恣意(しい)的な運用が起こり得る」と懸念を強めている。

 政府が2003~05年に3度提出した改正案は適用対象を「団体」と規定。犯罪集団との線引きが曖昧だったため乱用の恐れが指摘され、いずれも廃案になった。今回の改正案は対象を「組織的犯罪集団」に変え、犯罪の実行を目的にメンバーが結び付いているとの要件を明記。現場の下見などの「準備行為」も構成要件に加えた。法務省幹部は「裁判所のチェックもあり恣意的な捜査はできない」と強調する。

 ただ、犯罪の常習性や反復継続性の要件はなく、日弁連は「適法な団体が違法行為を計画した時点で組織的犯罪集団になったと解釈できる余地を残している」と懸念。法務省は「正当な団体でも目的が一変した場合は処罰の対象になる」との見解を明らかにし「一変」したと認定され得る具体例を示した。

 それによると、住宅リフォーム会社が社長の指示で詐欺を続けるようになった場合は組織的犯罪集団に該当。大学などのサークル(同好会)は「一般的に共通の趣味のために集まっており、指揮命令が存在しない」ので当たらないとした。

 一方で野党からは、米軍基地への反対運動が組織的威力業務妨害罪の「共謀」とされかねないとの指摘が出ている。

 自民党法務部会の小委員会が07年にまとめた修正案には「憲法の保障する権利や、労働組合その他の団体の正当な活動を制限してはならない」との留意事項が明記されていた。小委員会の事務局長を務めていた早川忠孝・元自民党衆院議員は「政府がいくら市民は対象にならないと言っても、捜査権の乱用を防ぐ仕組みを担保しないといけない。留意事項は条文に明記すべきだ」と話した。【共同】

このエントリーをはてなブックマークに追加