2019年度着工に向けて、今後、場所も含めて建て替えの検討が進められる鳥栖市役所庁舎=鳥栖市宿町

■「お客がどう判断」「補強に膨大な費用」

 震度6強以上の大規模な地震で倒壊・崩壊の危険性がある佐賀県内の公共施設やホテル、百貨店などの民間施設名が21日、明らかになった。施設所有者は耐震診断を基に対策の準備を進めてきたものの、集客への影響など不安は今もぬぐえないまま。民間企業が行政に比べて耐震補強工事を早期に進められない背景には、多額の投資を回収できるかどうか見通しが立てにくいこともあるようだ。

 「お客さんがどう判断するだろうか」。嬉野市の旅館経営者は表情を曇らせた。耐震補強工事の設計に入っているが「現時点で倒壊の恐れが高いと言われることで、どんな影響が出るのか非常に心配している」と不安を隠さない。

 2013年施行の改正耐震改修促進法は、1981年以前の旧耐震基準で建てられた5千平方メートル以上のホテルや百貨店などの耐震診断実施と所管行政庁への報告、公表を義務付けている。ただ、耐震補強工事を実施するかどうかは所有者に委ねられている。

 「危険性が高い」と判断された建物でさえ震度5強程度の中規模地震では倒壊する恐れはないとされる。あるホテル経営者は改修費用は数十億円かかるといい「大地震がまた発生すれば、ますます基準が厳しくなるのではないか。どこで改修を決断すればいいか悩ましい」と頭を抱える。

 商業施設にとっては売り上げ増加が見込める改装と違い、耐震補強は投資分を回収できるか懸念もある。すでに耐震設計に入った佐賀玉屋(佐賀市)は「補強工事の内容次第では膨大な費用がかかる。顧客と従業員の安全性を最優先に考えつつも、慎重に判断せざるを得ない」と神妙に語った。

このエントリーをはてなブックマークに追加