厚生労働省は21日、特別養護老人ホームなど介護施設の職員による高齢者への虐待が、2015年度に408件あったと発表した。前年度に比べ108件増え、過去最多を更新。家族や親族による虐待は237件増の1万5976件だった。

 06年度の調査開始以来、初の施設職員による虐待で高齢者が死亡したケースが報告された。広島市の認知症グループホームで15年5月、2階から転落した女性に職員が適切な処置をしなかった。家庭内での殺人や心中などは20件あったが、前年度比では5件減った。

 調査は、厚労省が高齢者虐待防止法に基づき、毎年実施。15年度に自治体が認定した件数や相談・通報があった件数をまとめた。

 施設職員による虐待では、認知症がある人が被害者の4分の3を占めた。虐待の種類(複数回答)では、拘束などの身体的虐待が61・4%と最も多く、暴言などの心理的虐待が27・6%、介護放棄が12・9%、貯金使い込みなどの経済的虐待が12・0%と続いた。

 原因(複数回答)は「教育・知識・介護技術の問題」が65・6%と最多で、次いで「ストレスや感情コントロールの問題」が多かった。

 家族による虐待の加害者は男性が多く、夫と息子で61・3%を占めた。逆に被害者は女性が76・8%だった。原因は介護疲れやストレスのほか、加害者自身にも病気や障害があったことなどが挙げられた。

 厚労省は17年度に自治体向けの虐待対応マニュアルを改訂する。【共同】

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