先月、フリーアナウンサーの小林麻央さんがお亡くなりになりました。麻央さんがこの1年あまりにつづったブログは世界中で大きな反響を呼び、昨年11月には英BBC放送の「今年の女性100人」に選ばれました。

 彼女のブログは更新されるたびにさまざまな媒体で紹介されましたが、私は当初、いくつかの違和感を覚えていました。真っ先に考えたのは、ブログで元気づけられ、勇気をもらった人がたくさんいる一方で、今まさに闘病している人にとって、現実を突き付けられるようで読みたくない話もあるのではないかということでした。

 また、彼女が「自由診療」といわれるものを比較的多く受けている印象もありました。中には医療者から見て好ましくないと思われるものもあり、ブログが称賛されることでそのような医療が一般の方に広がるのはいかがなものかという懸念がありました。

 もう一つは、彼女のブログだけがなぜ頻繁にニュースに取り上げられるのか、という疑問でした。がんをはじめとするさまざまな病気を経験した方のブログはたくさんありますし、どのブログからも書いた方の気持ちがあふれて伝わってきます。彼女が著名人だから大ニュースになるのかもしれませんが、これまでの著名人のブログとは少し扱いが違うようにも感じていました。

 しかし、彼女が亡くなってから改めてブログを読むと、ご家族や周囲の人はもとより、読者に対する優しさや気遣いにあふれており、またアナウンサーとして培われた表現力にも感銘を受けました。同時にそのほとんどを、ニュースを介してのみ接していたことに気付きました。私が抱いた違和感のうちのいくつかは、これが原因だったのかもしれません。

 まだ3割程度しか読めていませんが、ご冥福を祈りつつ、残りも少しずつ読み進めてみようと思っています。(なかおたかこクリニック院長 中尾孝子)

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